書物

ベルクソンの翻訳

アンリ・ベルクソンの著書は、まず主著4冊。 1)時間と自由(1889) 2)物質と記憶(1896) 3)創造的進化(1907) 4)道徳と宗教の二源泉(1932) 短篇を集めた2冊5)精神のエネルギー(1919) 6)思考と動き(1934) そしてテーマを「笑い」に絞った短篇、林達夫訳…

文学の空気のあるところ

荒川洋治氏の新刊書『文学の空気のあるところ』(中央公論新社,2015)を入手、読了する。 文学の空気のあるところ作者: 荒川洋治出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2015/06/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 荒川氏の著書から、毎…

須賀敦子の方へ

松山巌著『須賀敦子の方へ』(新潮社,2014)読了。 河出書房版『須賀敦子全集』の編集者であり、その8巻に、詳細な年譜を記載した松山巌氏にとって、須賀敦子さんの生涯を追体験する伝記の執筆は必然であった。 須賀敦子全集〈第8巻〉書簡・「聖心の使徒」…

ある文人学者の肖像-評伝・富士川英郎

富士川義之著『ある文人学者の肖像-評伝・富士川英郎』(新書館,2014)を、「みすず」読書アンケート回答より興味を抱き、読了す。ある文人学者の肖像 評伝・富士川英郎作者: 富士川義之出版社/メーカー: 新書館発売日: 2014/03/04メディア: 単行本この商品…

みすず読書アンケート2015

毎年この時期の恒例。みすず書房『みすず2015年1・2月』(みすず書房,2015.2)には、前年度の読書から5点以内を回答するもので、読書家、書物愛好家にとって見逃せないアンケートである。 5人から推された図書が1冊、4人からは2冊。それぞれ以下に*1書影を…

ヒッチコック

エリック・ロメール、クロード・シャブロルの伝説的書物『ヒッチコック』の翻訳がやっと出版された。 原書が刊行されたのが、1957年だから、およそ58年後の翻訳ということになる。 エリック・ロメール,クロード・シャブロル著,木村建哉・小河原あや訳『ヒッ…

漱石の初恋

荻原雄一著『漱石の初恋』(未知谷,2014)を読了した。 漱石の初恋作者: 荻原雄一出版社/メーカー: 未知谷発売日: 2015/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 漱石の恋人説に5人目の新説、その名前は清子(さわこ)と云う。これまでの、恋人には以…

本の収穫2014

恒例の書物の収穫について、ブログで触れてきた本以外の収穫として、以下に順不同で記載する。 ◎トマ・ピケティ著・山形浩生[ほか]訳『21世紀の資本』みすず書房,201421世紀の資本作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森本正史出版社/メーカー: みすず書…

祖父江慎デザイン「心」

祖父江慎デザインによる、漱石自筆原稿に基づく『こころ』(岩波書店,2014)が刊行された。漱石の『こころ』のテキストは、多数存在するが、岩波全集最新版は、自筆原稿に基づくと謳っているけれど、原稿に完璧に近いテキストが、ここに誕生した。 漱石 心 …

街場の戦争論

街場の戦争論 (シリーズ 22世紀を生きる)作者: 内田樹出版社/メーカー: ミシマ社発売日: 2014/10/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (25件) を見る 内田樹『街場の戦争論』(ミシマ社,2014)が、当該問題についての本質的な見解を示している貴重な内…

丸山眞男話文集続3

みすず書房から『丸山眞男話文集・続3』が、2014年11月21日付けで刊行された。その中に丸山眞男を囲む「楽しき会」の記録が、録音から文章化されている。 丸山眞男話文集 続 3作者: 丸山眞男,丸山眞男手帖の会出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/11/2…

トリュフォー最後のインタビュー

フランソワ・トリュフォー没後30年記念出版として、山田宏一・蓮實重彦『トリュフォー最後のインタビュー』(平凡社,2014)がこの度刊行された。インタビュー自体は、生前に行われたいたわけだから、30年間も放置されていたことに驚いた。 トリュフォー 最…

坊っちゃん事典

10月には、『坊っちゃん事典』(勉誠出版)が刊行された。三部構成で、「作中用語篇」「関連項目篇」「コラム篇」になっている。国民文学作家の代表作である、『坊っちゃん』単独の事典というものめずらしいし、いかに漱石ファンが多いかの証明でもある。 『…

夏目漱石周辺人物事典

原武哲編著『夏目漱石周辺人物事典』(笠間書院,2014)が7月末に発売された。漱石に関する文献や事典などは、膨大な数にのぼる。しかし、今回発売された本書は、漱石本人ではなく、文豪の周辺人物に関する、いわば読む事典である。ひとりの作家について、そ…

こころ、先生の遺書

夏目漱石が、東京朝日と大阪朝日に100年前、1914年に新聞連載した「こころ、先生の遺書」が、朝日新聞に再掲載され、百十回を迎えた。しかし、この連載内容は、復刻を装っているけれど、本文は現在、岩波文庫で刊行されている本文から、転載している。 ここ…

丸山眞男話文集・続

丸山眞男氏の生誕100年記念として、『丸山眞男集・全16巻別巻1』(岩波書店)が復刊刊行中であり、「岩波書店の新刊」8月号にて、本年末から続編「別集全5巻」刊行と予告されている。 丸山眞男話文集 続 1作者: 丸山眞男,丸山眞男手帖の会出版社/メーカー: …

帝国の構造

柄谷行人『世界共和国へ』(2006)の発売時に、拙ブログで触れたことがある。そこでは、氏の新書本を批判的に見ていた。しかし、著者のその後の出版物を読みながら、最新刊の『帝国の構造: 中心・周辺・亜周辺』(青土社,2014)を読むに至り、四交換様式の…

「ボヴァリー夫人」論

蓮實重彦著『「ボヴァリー夫人」論』(筑摩書房,2014)。蓮實重彦氏は、30年くらい前から『ボヴァリー夫人論』出版の話をしてきたと記憶している。ついに集大成として出版された。 「ボヴァリー夫人」論 (単行本)作者: 蓮實重彦出版社/メーカー: 筑摩書房発…

憲法の「空語」を充たすために

内田樹氏による、講演記録『憲法の「空語」を充たすために』(かもがわ出版,2014.08)を読了した。 憲法の「空語」を充たすために作者: 内田樹出版社/メーカー: かもがわ出版発売日: 2014/08/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 場所は神…

思い出す事など

朝日新聞は、漱石『こころ』掲載100年百年目に、再掲載すると発表した。2014年4月20日、100年目にあわせて当時と同じ「心(こころ) 先生の遺書」のタイトルカットで、掲載が始まった。 こころ (岩波文庫)作者: 夏目漱石出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 19…

柄谷行人インタヴューズ

柄谷行人『柄谷行人インタヴューズ』が、2冊本で刊行されている。『1997-2001』と『2002−2013』(講談社文芸文庫,2014)を通読する。 柄谷行人インタヴューズ1977―2001 (講談社文芸文庫)作者: 柄谷行人出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/02/11メディア: …

映画術

「映画術」は、ヒッチコックにトリュフォーがインタビューした『映画術』(晶文社,1981)が著名だが、映画監督の塩田明彦が、映画美学校で7回にわたり講義した内容を採録した『映画術』(イースト・プレス,2014)が実に面白い。映画を撮る側から、映画を…

私たちはどこから来て、どこへ行くのか

宮台真司『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』(幻冬舎,2014)読了。と言っても、かなり読みにくい本だった。敢えて、文章に学術用語を多用しているのは、詳細な「注釈」を付すためなのか。一種の衒学的趣味が漂う。 私たちはどこから来て、どこへ行く…

みすず読書アンケート2014

みすず書房『みすず』、2014年1月・2月号「読書アンケート特集」を入手した。早速、通読してみる。金森修氏の文章にまず眼を惹かれた。 この場所で、昨年の私は、この国の行く末を私なりに憂慮していた。ただその際、主に念頭にあったのは放射線障害に関する…

遊動論‐柳田國男と山人

遊動論 柳田国男と山人 (文春新書)作者: 柄谷行人出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2014/01/20メディア: 新書この商品を含むブログ (16件) を見る 柄谷行人が、『文学界』掲載の「柳田國男論」をまとめたものを、『遊動論‐柳田國男と山人』(文春新書,2014…

つながる図書館

猪谷千香『つながる図書館―コミュニティの核をめざす試み』(ちくま新書,2014)は、この10年間で、公共図書館が地域を拠点に如何に変貌したか、千代田図書館から、最近話題の武雄市図書館まで紹介しながら、わたしたち利用者にとって図書館はどうあるべきか…

本の収穫2013

例年に従い、2013年「本の収穫」をあげておきたい。 映画と異なり、ベスト10ではなく、あくまで収穫である。 ◎一般図書関係○國分功一郎『ドゥルーズの哲学原理』岩波書店,2013 ○國分功一郎『来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題』幻…

漱石関係文献の収集3年

漱石に関心を持っていたのは、学生時代、代表作とりわけ、前期三部作と後期三部作および『明暗』を読んだことに遡る。以後、江藤淳、柄谷行人、蓮實重彦、石原千秋など、折に触れて、関係文献を読んできた。しかしながら、ここ3年間は、集中的に漱石文献を蒐…

本の逆襲

内沼晋太郎『本の逆襲』(朝日出版社,2013)は、きわめて刺激的な本だ。 本の逆襲 (ideaink 〈アイデアインク〉)作者: 内沼晋太郎出版社/メーカー: 朝日出版社発売日: 2013/12/11メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (29件) を見る 新し…

街場の憂国論

内田樹『街場の憂国論』(晶文社,2013)は、内田氏による「街場」シリーズだが、きわめて常識的な所論を展開しながら、実に説得的である。 街場の憂国論 (犀の教室)作者: 内田樹出版社/メーカー: 晶文社発売日: 2013/10/05メディア: 単行本この商品を含むブ…