2017-01-01から1年間の記事一覧

映画ベストテン2017

2017年に映画館で見た映画は54本であった。例年どおりのベスト10選出は難しいが、外国映画に関して10本選出は可能だ。しかし、日本映画はあまり見る気分になれなかった。コミック原作の映画化や、高校生が主人公となる映画はどうしてもパスする。選出は『キ…

バテレンの世紀

渡辺京二『バテレンの世紀』(新潮社,2017)を読む。 『逝きし世の面影』(平凡社ライブラリ)『黒船前夜』(洋泉社)に続く三部作に位置する。ただし、時代は16世紀に遡及する。大航海時代ポルトガルの海外進出から記述が始まるが、フランシスコ・ザビエル…

ブレードランナー

ドゥニ・ビルヌーブ監督『ブレードランナー 2049』(2017)を観た。リドリー・スコットが監督した『ブレードランナー』(1982)は、2019年が舞台であった。『2049』では、ダッカードを演じたハリソン・フォードの登場までに、三分の二の時間が経過していた。…

坂口安吾論

柄谷行人が、『坂口安吾全集』(筑摩書房,1998−2012)の「月報」に「坂口安吾について」を連載していた。月報連載分を第一章として、個別論文を第二章、第三章が全集関連ものを収録したのが、『坂口安吾論』(インスクリプト,2017)である。 坂口安吾論作…

『ユリイカ』蓮實重彦特集

もはや御大としか呼びようがない蓮實重彦。氏の特集本が『ユリイカ』10月臨時増刊号として刊行された。 ユリイカ 2017年10月臨時増刊号 総特集◎蓮實重彦作者: 蓮實重彦,黒沢清,万田邦敏,青山真治出版社/メーカー: 青土社発売日: 2017/09/12メディア: ムッ…

小説の読み書き

佐藤正午著『月の満ち欠け』(岩波書店,2017)が直木賞を受賞した。映画化された『永遠の1/2』により、名前のみ印象に残り、「すばる文学賞」受賞(1983年)以来、佐藤氏は何をしていたのか知らず、正直小説家を続けていたのには驚いた。 月の満ち欠け作者:…

もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら

もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら作者: 神田桂一,菊池良出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2017/06/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る やたらと長いタイトルが付された神田桂一・菊池良著『もし文豪たちがカップ焼きそば…

もう一度倫敦巴里

和田誠著『もう一度倫敦巴里』(ナナロク社,2017)を読む。といっても話の特集から出ていた原本『倫敦巴里』(1977)を所有していたはずだが、見つからない。復刻というより、「『雪国』海外編」」「雪国・70年2月号・73年11月号・75年2月号・77年2月号のつ…

漱石辞典

漱石没後150年。ついに出た『漱石辞典』(翰林書房,2017)は、漱石事典ではなく、あくまで「ことば」に拘った、辞典であるところが、これまでの<各種漱石事典>と異なるところである。 漱石辞典作者: 小森陽一,飯田祐子,五味渕典嗣,佐藤泉,佐藤裕子,野網摩…

夫・車谷長吉

高橋順子さんが、『夫・車谷長吉』を、三回忌に合わせて、書き下ろしとして出版された。異端的文学者と女流詩人の組み合わせ、結婚に至るまでが冒頭に置かれ、たしかにこの二人はどのようにして、出会ったのだろうかという疑問に答えている。 夫・車谷長吉 […

夢を見ましょう

サッシャ・ギトリのDVD-BOXが発売された。『とらんぷ譚』のみ評価が高い、この演劇・映画などマルチ才能のヌーヴェル・ヴァーグ先駆者のサッシャ・ギトリ作品集は貴重だ。 サッシャ・ギトリ 傑作選 DVD BOX(初回限定生産)出版社/メーカー: IVC,Ltd.(VC)(D)発…

わたしは、ダニエル・ブレイク

ケン・ローチ監督『わたしは、ダニエル・ブレイク』(I, Daniel Blakee,2016)は、『麦の穂をゆらす風』に続き、二度目のカンヌグランプリに輝いた作品であり、いかにもケン・ローチらしい労働者を主人公に据え、心臓病のために働けないダニエルは、国の社会…

騎士団長殺し

村上春樹の新作長編、『騎士団長殺し:第1部 顕れるイデア編』『騎士団長殺し:第2部 遷ろうメタファー編 』(新潮社,2017)は、タイトルの壮大さに較べて、残念ながら、過去の長編を超えるものではなかった。 騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編作者: 村上…

みすず読書アンケート2017

『みすず』(みすず書房,2017)1・2月号「読書アンケート特集」を例年どおりさっと眼を通した。146名の回答が掲載されている。6人が挙げている図書は、カルロ・ギンズブルグ著,上村忠男編訳『ミクロストリアと世界史‐歴史家の仕事について』(みすず書房,…

沈黙サイレンス

遠藤周作原作『沈黙』は1966年に書き下ろされた小説。新潮社「純文学書き下ろし特別作品」というものがあった。沈黙 (1966年)作者: 遠藤周作出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1966メディア: ? クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る 安部公房『砂の…