文学の空気のあるところ
荒川洋治氏の新刊書『文学の空気のあるところ』(中央公論新社,2015)を入手、読了する。
- 作者: 荒川洋治
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2015/06/10
- メディア: 単行本
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荒川氏の著書から、毎回、文学のこと、詩のことについてなど、忘れられようとしている作家・作品を教わる。
昭和というか、戦後はみんなが本を読んでいる、・・・(11頁)
小説には密度があった。読むほうは密度のあるものを与えられていた。これが昭和です。(15頁)
昭和の戦後に、多くの文学全集が刊行され、家庭の書棚には、どれかが揃っていた。そのことの意味。
昭和の読書というのは、読むか読まないかではなく、必要な時には、こんな本があるという状態であったこと。
今は、読むひとより、ネットで書くひとが増えた。ブログやFacebookには、編集者が介在しない。校正もない。書きたいことをだらだらと書く、そんな時代である、と荒川氏は警句(小生もブログを書いている=恥!)を発している。
中村草田男の名句「降る雪や明治は遠くなりにけり」は、昭和6年の作。つまり明治が終焉して20年くらいの時期に詠まれた俳句である。昭和が終わり、26年が経過している。昭和が遠いという感覚ではなく、「ALWAYS三丁目の夕日」は、一種の懐古、懐かしさへのあこがれであり、「昭和は遠くなりにけり」の感覚ではない。
- 作者: 三島由紀夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1968/09/17
- メディア: 文庫
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「名作・あの町この町ー地図」では、物語の始点から終点へ、日本地図の上から作品・作家を見る。この地図から、私の場合、三島由紀夫の「橋づくし」が読みたくなり、近所の本屋さんで新潮文庫を買い求めて、早速読んでみた。荒川氏の紹介がなければ、まず読むことはなかったであろう小説だ。
三島由紀夫の短編の巧みさが表現されている作品であった。収穫。
荒川氏の著書を読むと、読書の幅が拡がる。現在、新刊本を必ず購入する著者の一人となっている。
荒川洋治氏から、結城信一、島村利正、加能作次郎、田畑修一郎など、あまり知られていない作家たちを教えられた。
- 作者: 結城信一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/11
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- 作者: 島村利正,勝又浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/01/10
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- 作者: 加能作次郎,荒川洋治
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/01/11
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- 作者: 田畑修一郎
- 出版社/メーカー: ハーベスト出版
- 発売日: 2004/07
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過去にも『文学のこころ』『昭和の読書』『世に出ないことば』『文学の門』『文学がすき』等々、その都度、購入・読書が楽しみな現代詩作家だ。
- 作者: 荒川洋治
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2007/07/03
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- 作者: 荒川洋治
- 出版社/メーカー: 四月社
- 発売日: 2005/10
- メディア: 単行本
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- 作者: 荒川洋治
- 出版社/メーカー: 旬報社
- 発売日: 2001/04
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- 作者: 荒川洋治
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2009/12/11
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- 作者: 荒川洋治
- 出版社/メーカー: 幻戯書房
- 発売日: 2011/09/01
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- 作者: 荒川洋治
- 出版社/メーカー: 四月社
- 発売日: 2005/12
- メディア: 単行本
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- 作者: 荒川洋治
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/07/24
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- 作者: 荒川洋治
- 出版社/メーカー: 幻戯書房
- 発売日: 2008/11
- メディア: 単行本
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何よりも荒川氏の「文学は実学である」という<ことば>が良い。