2011-01-01から1年間の記事一覧

本の収穫2011

今年は、腰を据えてじっくり読む余裕がなかった。購入本は例年同様、気になる本が積み置かれている状態である。しかし、最も大きな収穫は、高山宏氏の大著『新人文感覚1 風神の袋』『新人文感覚2 雷神の撥』(羽鳥書店,2011)2冊と、氏による翻訳、ロザリー…

追悼・森田芳光

今年、映画人の訃報が多かった。とりわけ年末、森田芳光の突然の死に驚いた。『の・ようなもの』(1981)以来、公開される度にリアルタイムで観てきた映画監督の死は、哀しい。昨年『武士の家計簿』(2010)をベストテンにあげている。森田氏を追悼する意味…

映画ベストテン2011

今年は、88本の中から選出した。対象は「キネマ旬報2011ベストテン選出用リスト」とした。外国映画、日本映画とも、原発関連のドキュメンタリーがベスト1となった。【外国映画】 1.100,000年後の安全(マイケル・マドセン) 2.コンテイジョン(スティーブン…

本ーその歴史と未来

デイヴィッド・ピアソン著、原田範之訳『本ーその歴史と未来』(ミュージアム図書、2011)は、デジタル化が加速する図書について、歴史的な来歴を多数の図版で示しながら、テキストの可読性からのみでなく、モノとしての本の重要性を説得的に解説している優…

チリの地震

『現代思想』7月臨時増刊「震災以後を生きるための50冊」では、ハインリヒ・フォン・クライスト『チリの地震』を3名の識者が取り上げていた。また、『思想としての3・11』(河出書房新社,2011)でも、佐々木中氏が「チリの地震」を話の導入に用いていた。…

福島の原発事故をめぐって

3・11以後、自分の生き方について考えるところがあり、自省を重ねてきた。 津波と原発作者: 佐野眞一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/06/17メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 73回この商品を含むブログ (30件) を見る 原発と震災関係の雑誌特集や、…

東日本大震災

3.11以前と以後では、日本の世界観が180度変わってしまった。 震災や津波の被害は、ニュース画面でみると恐怖感に捉われる。しかし、東日本の太平洋側の海岸沿いの被災地は、共同体の絆が残っていた。震災当初は、海外から震災に対応する冷静な日本人を改め…

ヒアアフター

スピルバーグ製作、クリント・イーストウッド監督作品『ヒアアフター』(Hereafter, 2010)を観てきた。期待以上の素晴らしいフィルムになっている。リゾ−ト地で津波に襲われ臨死体験をした女性ジャーナリスト・マリー・ルレ(セシル・ドゥ・フランス)、双…

ウンベルトD

ウンベルトD [DVD]出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2011/01/29メディア: DVD購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (1件) を見る ヴィットリオ・デ・シーカ『ウンベルトD』(1952)が、DVD発売されたので早速鑑賞した。加藤周一はかつて『夕…

街場の大学論

内田樹『街場の大学論』(角川文庫、2010)は、2007年刊行『狼少年のパラドックス』の文庫版だが、そして著者も「文庫版あとがき」で「自己評価」を推進したことを反省している。街場の大学論 ウチダ式教育再生 (角川文庫)作者: 内田樹出版社/メーカー: KADO…