2015-01-01から1年間の記事一覧

ベルクソンの翻訳

アンリ・ベルクソンの著書は、まず主著4冊。 1)時間と自由(1889) 2)物質と記憶(1896) 3)創造的進化(1907) 4)道徳と宗教の二源泉(1932) 短篇を集めた2冊5)精神のエネルギー(1919) 6)思考と動き(1934) そしてテーマを「笑い」に絞った短篇、林達夫訳…

映画ベストテン2015

恒例の映画回顧。2015年「キネマ旬報」12月下旬号に掲載された「ベストテン選出用作品リスト」から、以下のとおり選出してみた。2015年にスクリーンで観た映画は、105本。 【外国映画】 Mommy/マミー(グザヴィエ・ドラン) セッション(デミアン・チャゼル…

原節子さんの死去

原節子さんが、9月5日に逝去されていたことが報じられた。リアルタイムで観た映画はないけれど、小津安二郎『晩春』から始まる紀子三部作が代表作だろう。 あの頃映画 松竹DVDコレクション 晩春 デジタル修復版出版社/メーカー: 松竹発売日: 2015/12/02メ…

ギャラクシー街道

三谷幸喜脚本・監督『ギャラクシー街道』(2015)を観た。本作に関する限り、ネット上の評判は「酷評」であるらしい。なるほど、これまでの三谷作品は、どれもほど良いコメディであり、見るものに、一種の心地良さを提供してきた。これまでの映画作品を時系…

戦争法案を廃棄せよ

2014年に拙ブログ「2014-07-21 戦争を露出させているものは何か」で、集団的自衛権の閣議決定は憲法違反であることに言及した。 現在は、内田樹氏がいう「戦間期」にあることが指摘されたが、「新・安保法案」というより、「戦争法案」の呼称が法案の内容を…

鶴見俊輔氏を追悼する

戦後思想家がまた一人亡くなった。鶴見俊輔氏享年93歳。プラグマティズム哲学の紹介。雑誌『思想の科学』の創刊。広範な知的興味による批評の展開。 思想をつむぐ人たち ---鶴見俊輔コレクション1 (河出文庫)作者: 鶴見俊輔,黒川創出版社/メーカー: 河出書房…

文学の空気のあるところ

荒川洋治氏の新刊書『文学の空気のあるところ』(中央公論新社,2015)を入手、読了する。 文学の空気のあるところ作者: 荒川洋治出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2015/06/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 荒川氏の著書から、毎…

日本十進分類法新訂10版

日本の公共図書館、大学図書館、学校図書館など、多くの図書館が採用している「日本十進分類法(NDC)」は、新訂9版が1995年に刊行され、約20年が経過している。 日本十進分類法作者: 日本図書館協会分類委員会,もりきよし出版社/メーカー: 日本図書館協会発…

マノエル・ド・オリヴェイラを追悼する

2015年4月2日、ポルトガル映画の巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ(1908〜2015)が、106歳で他界されたとの報道があった。特に80歳を超えてから毎年一本の映画を撮り続け、100歳を超えてなお映画を撮ってきた。最後に観た『家族の灯り』(2012)は、ジャンヌ…

須賀敦子の方へ

松山巌著『須賀敦子の方へ』(新潮社,2014)読了。 河出書房版『須賀敦子全集』の編集者であり、その8巻に、詳細な年譜を記載した松山巌氏にとって、須賀敦子さんの生涯を追体験する伝記の執筆は必然であった。 須賀敦子全集〈第8巻〉書簡・「聖心の使徒」…

ある文人学者の肖像-評伝・富士川英郎

富士川義之著『ある文人学者の肖像-評伝・富士川英郎』(新書館,2014)を、「みすず」読書アンケート回答より興味を抱き、読了す。ある文人学者の肖像 評伝・富士川英郎作者: 富士川義之出版社/メーカー: 新書館発売日: 2014/03/04メディア: 単行本この商品…

みすず読書アンケート2015

毎年この時期の恒例。みすず書房『みすず2015年1・2月』(みすず書房,2015.2)には、前年度の読書から5点以内を回答するもので、読書家、書物愛好家にとって見逃せないアンケートである。 5人から推された図書が1冊、4人からは2冊。それぞれ以下に*1書影を…

ヒッチコック

エリック・ロメール、クロード・シャブロルの伝説的書物『ヒッチコック』の翻訳がやっと出版された。 原書が刊行されたのが、1957年だから、およそ58年後の翻訳ということになる。 エリック・ロメール,クロード・シャブロル著,木村建哉・小河原あや訳『ヒッ…

漱石の初恋

荻原雄一著『漱石の初恋』(未知谷,2014)を読了した。 漱石の初恋作者: 荻原雄一出版社/メーカー: 未知谷発売日: 2015/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 漱石の恋人説に5人目の新説、その名前は清子(さわこ)と云う。これまでの、恋人には以…