2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

クオリア降臨

クオリア降臨作者: 茂木健一郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/11/25メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (41件) を見る 茂木健一郎『クオリア降臨』、タイトルが凄い。文芸評論家の批評が面白くないのは「文芸批評」というフレーム…

エリザベスタウン

キャメロン・クロウには、ビリー・ワイルダーから聞き書きした『ワイルダーならどうする?』(キネマ旬報社、2001)があり、映画監督が前世代の監督に話を聴くスタイルとしては、フランソワ・トリュフォーがヒッチコックを相手に作品毎の手法やセオリーを聴…

団扇の画

随筆集 団扇の画 (岩波文庫)作者: 柴田宵曲,小出昌洋出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2000/08/17メディア: 文庫 クリック: 18回この商品を含むブログ (8件) を見る 川本三郎が10回にわたり、「柴田宵曲のいた時代」を朝日に連載していた。大きな物語が終…

近代文学の終わり

近代文学の終り―柄谷行人の現在作者: 柄谷行人出版社/メーカー: インスクリプト発売日: 2005/11/01メディア: 単行本 クリック: 18回この商品を含むブログ (40件) を見る 柄谷行人の『近代文学の終わり』の標題講演と、「歴史の反復について」を読めば、今日…

街場のアメリカ論

街場のアメリカ論 NTT出版ライブラリーレゾナント017作者: 内田樹出版社/メーカー: NTT出版発売日: 2005/10/13メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 2人 クリック: 11回この商品を含むブログ (71件) を見る アメリカナイズされた社会だの、グローバリゼー…

ALWAYS 三丁目の夕日

映画の舞台となる昭和33年とは、戦後13年目で、中世から続いてきた日本人の生活スタイルが高度成長期の入り口になり、大きく変容し始める年。また東京タワーが完成した年でもある。 昔は良かったという単純な話で終わりになっている、と書いてしまえば見もふ…

TAKESHIS'

「北野たけし」と「ビートたけし」を演じる俳優にして監督。スターである「ビートたけし」と、コンビニでバイトをしながら、オーディションを受け続ける「北野たけし」を描いているのだが、冒頭の『戦場のメリークリスマス』から『その男、凶暴につき』や『…

埋もれ木

『泥の河』でデビューした小栗康平の到達した場所が、『埋もれ木』であるとすれば、この先、小栗氏はどのような方向に進むのか、換言すれば、徹底したリアリズム手法から、次第に映像表現に主体を移し、物語の解体と抽象化の極地に達してしまった。作品とし…

比類なきジーヴス

およそ「書評」として成立しがたい類の書物がある。ユーモア小説などがその典型であろう。洗練されたユーモア小説とは、寅さんではないけれど「てめえ、さしずめインテリだな」と揶揄される知識人が好むジャンルでもある。探偵小説はまだ「書評」が成立する…

悪い男

『サマリア』で救いがないと書いたけれど、『悪い男』のラストはフェリーニの『道』そのものであり、ハンギとソナは救われている。ラストショットとして理解可能なシーンが三つあり、冒頭で二人が出会ったベンチに、二人が座り別れるシーンが最初。ここで終…

春夏秋冬そして春

湖水に浮かぶ寺院。この光景だけで、すでに絵になっている。幼年時代の春から少年時代の夏へ。春=幼年時代に、動物へのいたずら故、老師から重い石を背中に負う戒めを受ける。 夏=少年時代、気の病を帯びた少女が母親に連れられて湖上の寺院にやってくる。…