2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

街のあかり

アキ・カウリスマキの敗者三部作・第三部『街のあかり』(2006、フィンランド)を観る。<失業>の『浮き雲』、<ホ−ムレス>の『過去のない男』、そして締めくくりは<孤独>。警備員コイスティネン(ヤンネ・フーティアイネン)は、孤独な夜の警備員。華や…

絶対の愛

キム・ギドクの新作『絶対の愛』(2006、韓国)を観る。つねに究極の愛のかたちを描き続けているギドク監督は、整形手術を愛の手段としてみせた。 絶対の愛 [DVD]出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)発売日: 2007/11/22メディア: DVD クリック: 54回この商品を…

フランドル

フランドル地方の田園地帯は絵画のように美しい。農業を引き継いでいるデメステル(サミュエル・ボワダン)の寡黙な農作業が静謐なリズムで描かれる。幼なじみのバルブ(アドレイド・ルルー)に誘われ、無人の農場でセックスする。会話を交わすこともなく日…

ぼくの彼女はどこ?

ダグラス・サークコレクション1に収録されている一本『ぼくの彼女はどこ?』(1952)は、小品のミュージカル・コメディ。本作でサークは、始めてロック・ハドソンを起用した。また、無名時代のジェームス・ディーンがワン・ショットだけ出ている。 ジェーム…

天が許し給うすべて

ダクラス・サーク作品が、やっとまとまってDVD化された。第1回は3作品だが、メロドラマとして後に多くの作家たちに影響を与えた傑作『天が許し給うすべて』(1956)が収録されている。ダニエル・シュミットが、ダグラス・サークにインタビューした記録映画『…

カラマーゾフの兄弟

数多い文庫本のなかで、「光文社古典新訳文庫」の企画は快挙と言っていいだろう。亀山郁夫訳『カラマーゾフの兄弟』がよく売れているらしい。ドストエフスキーが多くの読者を獲得していることは嬉しいことだ。遅ればせながら、亀山新訳を読み始め、第2巻第5…

シッコ

マイケル・ムーア『シッコ』(SiCKO, 2007)を観る。優れたドキュメンタリーはフィイクションである、という映画的事実を証明してみせた、実に刺激的なフィルムになっている。世界の中で最も民主主義的な国家であるアメリカにはなんと、国民皆保険制度がない…

小林秀雄賞『私家版・ユダヤ文化論』

拙ブログ2006−07-29で取り上げた『私家版・ユダヤ文化論』(文藝春秋,2006)が、「第6回小林秀雄章」を受賞した。 私家版・ユダヤ文化論 (文春新書)作者: 内田樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/07/01メディア: 新書購入: 11人 クリック: 169回この商…

村上春樹にご用心

内田樹『村上春樹にご用心』(アルテスパブリッシング、2007.10)は、村上春樹の世界に意味を見出すのではなく、「無意味さ」こそハルキ的世界であることを、ウチダ節で語られる。 村上春樹にご用心作者: 内田樹出版社/メーカー: アルテスパブリッシング発売…