TAKESHIS'
「北野たけし」と「ビートたけし」を演じる俳優にして監督。スターである「ビートたけし」と、コンビニでバイトをしながら、オーディションを受け続ける「北野たけし」を描いているのだが、冒頭の『戦場のメリークリスマス』から『その男、凶暴につき』や『ソナチネ』などの北野作品が引用されるとともに、たけしの私生活を思わせる愛人(京野ことみ)とかつての愛人あるいは、妻を想起させる岸本加世子の出演で、一見、虚構と現実、「たけし」という人物のあわせ鏡になっているように、撮られている。しかしながら、この手法はもちろん虚構としての映画の中で、自己を表出するための手段で、あくまで、フィルムとして『TAKESHIS'』を観るべきだろう。
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すると、一種の自己満足というか、ケレン味が透けてみえる。観るものにとってあまり良い気分ではない。功をなし名をあげたコメディアンにして、芸術家の自惚れ鏡をみせられる気分だ。コンビニの「北野たけし」が、「ビートたけし」に同化し、拳銃を撃ちまくるシーンを何度も反復されると、自己解放の極みとなり、他者の眼には不快とさえ映ることの無自覚さは救いがたい。せめて、フェリーニの『81/2』程度の自己批評性が欲しい。*1