2005年映画ベスト10
年末恒例の回顧2005年。まずは映画から今年のベスト10を選んでみた。スクリーンで観た映画が旧作を含めると123本。年間100本が目標なので、今年は目標をクリアした。映画館で観た映画から、『キネマ旬報』2006年1月上旬号の「ベストテン選出用作品リスト」を対象に選出した。
日本映画のベストは『パッチギ!』、これ以外にはないと考えていた。ところが12月に岩波ホールで観た『二人日和』の印象が鮮明で、いってみれば青春映画と死を控えた老夫婦の映画、つまり対照的な二本のいずれをベスト1として選ぶかで、最後まで迷った。人生の終焉に近づいた時、人はどのようにふるまうか、これは、人生永遠の問題だ。ということで『二人日和』をベスト1に据えた。以下は、若干の迷いがあったものの、ほぼすんなり決まった。
外国映画のベスト1は、これ以外にはない。おそらく好悪が決定的に別れるであろう『チャーリーとチョコレート工場』だ。2位以下の順位はその日の気分によって変わり得る。ただ、『インファナル・アフェアⅢ』は、香港ノワールの大傑作であるが、三部作の完結編なので残念ながら次点となった。『ブルー・レクイエム』はフレンチ・ノワールの復活として、ハリウッドの大作に匹敵し、それ以上にスリリングなできばえになっている。最後まで緊張感を持続させ、映画を観ることの楽しみを感じさせた。11本のうちアメリカ映画が4本。非ハリウッド映画は脚本に味わいがあり、映像でも負けてはいないことは、強調しておきたい。
【日本映画】
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次点 カーテンコール(佐々部清)
【外国映画】
①チャーリーとチョコレート工場(ティム・バートン、米)
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④エレニの旅(テオ・アンゲロプロス、ギリシャ=仏=伊=独)
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⑧ライフ・イズ・ミラクル(エミール・クストリッツァ、仏=セルビア=モンテネグロ合作)
⑨ブルー・レクイエム(ニコラ・ブークリエフ、仏)
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次点 インファナル・アフェアⅢ(アンドリュー・ラウ&アラン・マック、香港)
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日本映画は、上記作品のほか、『火火』(高橋伴明)、『トニー滝谷』(市川準)、『またの日の知華』(原一男)、『蝉しぐれ』(黒土三男)、『阿修羅城の瞳』(滝田洋二郎)などがあり、栄誉あるワースト1は、ひたすら自己肯定を反復する『TAKESHIS’』(北野たけし)となる。
外国映画には、選外として『海を飛ぶ夢』(アレハンドロ・アメナーバル)、『やさしくキスをして』(ケン・ローチ)『コーラス』(クリストフ・パラティエ)、『エリザベスタウン』(キャメロン・クロウ)、貴重なウルグワイ映画『ウイスキー』(フアン・パブロ・レベージャ&パブロ・ストール)、『Jの悲劇』(ロジャー・ミッチェル)、3時間を超える壮大な悲劇『キング・コング』(ピーター・ジャクソン)など傑作・佳作がある。ワースト1は、もちろんあのスピルバーグ監督『宇宙戦争』となる。
ワースト1とは、おおいなる期待を完全に外した映画ということだ。
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【追記】(2005年12月31日)
スピルバーグの新作『ミュンヘン』(Munich、2005)がどうやら大傑作であるらしい。メールマガジン「JMM」No.355で、冷泉彰彦氏が紹介している。「監督の最高傑作であるだけでなく、2005年までの現時点で言えば、今世紀のハリウッド映画の中で、最も価値のある作品ではないか」と絶賛している。『宇宙戦争』の汚名挽回となるフィルムであって欲しいと願う。