本の収穫2005
各種雑誌・新聞等で、著名人が「今年の収穫」として、3冊から5冊を挙げて、コメントを付している。拙ブログの建前は「独断と偏見による『読書』と『映画鑑賞』の記録」としているので、昨日の映画に続いて「書物」のまとめをしておきたい。
何といっても、私にとっての最大の収穫は、茂木健一郎の著書との出会いだった。
■茂木健一郎『脳と仮想』(新潮社、2004)
- 作者: 茂木健一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/09/22
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この著者の本を数冊読んだが、『脳と仮想』が圧倒的な感動をもたらした。詳細は、9月12日に記載しているとおりであるが、茂木氏に導かれて小林秀雄の講演CDを聴くことになった。
■小林秀雄講演CD『文学の雑感』『信ずることと考えること』『本居宣長』『現代思想について』『随想二題――本居宣長をめぐって』(新潮社)
小林秀雄講演 第2巻―信ずることと考えること [新潮CD] (新潮CD 講演 小林秀雄講演 第 2巻)
- 作者: 小林秀雄
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/01/01
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この五巻のCDを、車の中で繰り返し聴いている。通勤で、ドライヴで音楽の代わりに「講演」を聴くというのは不思議な気持ちだ。おかげで、小林秀雄に関する「考えるヒント」が得られた気分になっている。小林秀雄は、第三次全集とそれを補う部分として第四次全集をもっていたので、第五次全集は、別巻のベルクソン論『感想』のみ購入していた。講演を聴くうちに、第五次全集を少しづつ買い足して行き、年末に全巻揃ってしまった。結果として『本居宣長』は、新かなづかい表記の全作品の2冊を含めて、三種類の本を所有することになった。
三浦氏の本書から、丸谷才一の『樹影譚』への連なりについては、8月17日および18日のブログに記した。文芸批評の試みのひとつとして評価したい。
■鈴木地蔵『市井作家列伝』(右文書院)
- 作者: 鈴木地蔵
- 出版社/メーカー: 右文書院
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私小説作家に言及しながら、「私は、文学は”如何に生くべきか”が描かれていれば良しとする」態度に共感を覚えた。6月26日拙ブログに記載。
- 作者: 坪内祐三
- 出版社/メーカー: 講談社
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坪内氏の本書も、出色の評論であり、「小説」と読むことが可能な刺激的な書物だった。4月3日の拙ブログに記載。
■現代詩作家・荒川洋治が、4冊も本を上梓したこと。
・『心理』(みすず書房)
・『ラブシーンの言葉』(四月社)
・『世に出ないことば』(みすず書房)
・『文芸時評という感想』(四月社)
- 作者: 荒川洋治
- 出版社/メーカー: みすず書房
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- 作者: 荒川洋治
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- 作者: 荒川洋治
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■大佛次郎『天皇の世紀』(朝日新聞社)の復刊。
『天皇の世紀』普及版全10冊の刊行開始。12月に二冊『黒船』と『大獄』が復刻されたことは喜ばしい。第3巻『有志者』以降は、2006年1月から毎月刊行される。
■2006年度の出版企画として、岩波書店からの2点を期待している。
・『フロイト全集』全22巻別巻1(新宮一成、鷲田清一等編)
・『丸山眞男回顧談』全2冊
現在の『フロイト著作集』(人文書院)は訳が古く、誤訳が多いと指摘されている。その人文書院から、北山修・監訳『フロイト全著作解説』が、今年出版されている。『全著作解説』と岩波版『全集』でフロイトの全貌が、21世紀になって現れることになる。
12月は、多忙をきわめブロクの記録が滞ったけれど、これで、今年度はおしまい。ブログは義務ではなく気の向くまま、随時記録して行きたい。