映画ベストテン2017
2017年に映画館で見た映画は54本であった。例年どおりのベスト10選出は難しいが、外国映画に関して10本選出は可能だ。しかし、日本映画はあまり見る気分になれなかった。コミック原作の映画化や、高校生が主人公となる映画はどうしてもパスする。選出は『キネマ旬報2017年12月下旬号』に掲載されているリストにあるフィルムに限定するのは例年どおりである。
まず、外国映画から10本。日本映画は5本とした。
【外国映画】
1 たかが世界の終わり(グザヴィエ・ドラン)
2 エル(ポール・ヴァーホーヴェン)
3 午後8時の訪問者(ダルディエンヌ兄弟)
4 わたしは、ダニエル・ブレイク(ケン・ローチ)
5 ドリーム(セオドア・メルフィ)
6 沈黙サイレンス(マーティン・スコセッシ)
7 マンチェスター・バイ・ザ・シー(ケネス・ロナーガン)
8 ラ・ラ・ランド(デイミアン・チャゼル)
9 パターソン(ジム・ジャームッシュ)
10 夜明けの祈り(アンヌ・フォンテーヌ)
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グザヴィエ・ロラン監督、カンヌグランプリ受賞作『たかが世界の終わり』。ゲイで作家のルイ(ギャスパー・ウリエル)は、自分の死を告げるため12年ぶりに故郷に帰省する。出迎えるのは、妹セザンヌ(レア・セドゥ)、兄アントワーヌ(ヴァンサン・カッセル)、その妻カトリーヌ(マリオン・コテヤール)、そして母(ナタリー・バイ)。家族それぞれが、それぞれの想いで、ルイに接する。言葉は交換されるが、意図はすれ違う。ルイは肝心なことを「実は・・・」と切り出すが、兄が空港まで送るという遮りによって、家族の団欒が一変する。
ルイの家族とは。母親は常に子どものことを心配し愛しながらも、関心は自身のこと。ナタリー・バイが老いかけた母を好演している。妹のセザンヌは、兄と12年間離れていたので、良く知らない。兄への関心度が最も高い。兄アントワーヌは、地元の工場に勤めており、弟が作家として著名になっていることに嫉妬し、反感を抱いている。嫂カトリーヌは、ルイとは初対面で、会話がちぐはぐになってしまう。
これらの家族に、ルイは個々に探るように接して行くが、どこかに違和感を抱かざるを得ない。このような複雑な家族に、告白すべき大事なことを内に抱えながら、誠実に対応しようとするが、兄とのドライヴが決定的な距離をもたらすことになる。
グザヴィエ・ロランは、5人の登場人物の顔をクロースアップを多用しながら、細やかな表情を捉えている。
言葉と映像のフィルム。これまでのグザヴィエ・ロラン作品は、自己の体験的乃至経験的マイナーな世界を描いてきたが、本作にはフランスの実力俳優を得て、ドラマの深まりを感じさせる仕上がりになっている。カンヌの次点であるグランプリ受賞も首肯できるというものだ。今年のベスト映画とした。
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次点
ブレードランナー2049(ドゥニ・ビルヌーブ)
カフェ・ソサエティ(ウディ・アレン)
【日本映画】
1 散歩する侵略者(黒沢清)
2 三度目の殺人(是枝裕和)
3 光(河瀬直美)
4 関ヶ原(原田眞人)
5 アウトレイジ最終章(北野武)
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■キネ旬ベストテン(2018.1.11)発表では
外国映画
1.わたしは、ダニエル・ブレイク(ケン・ローチ)
日本映画
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外国映画監督賞 ケン・ローチ
となっていた。
年度別ベスト10は個人的趣味の反映に過ぎない。