映画ベストテン2015


恒例の映画回顧。2015年「キネマ旬報」12月下旬号に掲載された「ベストテン選出用作品リスト」から、以下のとおり選出してみた。2015年にスクリーンで観た映画は、105本。


【外国映画】

  1. Mommy/マミー(グザヴィエ・ドラン
  2. セッション(デミアン・チャゼル)
  3. マイ・インターンナンシー・マイヤーズ
  4. バードマンあるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
  5. アリスのままで(リチャード・グラツァー、ワッシュ・ウェストモアランド)
  6. 6才のボクが、大人になるまで(リチャード・リンクレイター
  7. 雪の轍(ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
  8. アメリカン・スナイパークリント・イーストウッド
  9. イミテーションゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(モルテン・ティルドゥム
  10. エレファント・ソング(シャルル・ビナメ)
  11. おみおくりの作法(ウベルト・パゾリーニ
  12. 妻への家路(チャン・イーモウ

グザヴィエ・ドランの映画を5本観た。「Mommy/マミー」「マイ・マザー」「胸騒ぎの恋人」「トム・アット・ザ・ファーム」「エレファント・ソング」。
2015年公開作の2本を、ベスト1と10位に選んだ。きわめて個性の強い、映像美あふれる作家性が際立つ、期待の若手監督である。
「Mommy/マミー」は、ジャン=リュック=ゴダール「さらば、愛の言葉よ」と第67回カンヌ国際映画祭審査員特別賞を二人で分けた映画だ。


さらば、愛の言葉よ [DVD]

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82歳のゴダールが、相変わらず前衛的映画を撮っていることに驚く。しかし、もはや映画という枠に収まらない。「映画史」の延長上にあるフィルムだ。



「セッション」は、J.K.シモンズの狂気に溢れた、偏執的な演技に尽きる。映画の狂気を感じさせるフィルムだった。


マイ・インターン」は、久々に、清々しさを覚えた。地球の滅亡だの、ノンストップアクションだの、荒唐無稽なストーリーが氾濫する中で、希有な大人の映画だ。

「バードマン」は、全編、ワンシーン・ワンショットの長回しで撮った映画、溝口健二を想起させる。

雪の轍 [DVD]

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エレファント・ソング [DVD]

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「エレファンソング」は主演のみだが、グザヴィエ・ドランが出演を希望しただけあり、美形の男性が己の性の特異さを堂々と主張する。カウンセラーが惑わされるほどの圧倒的存在感には、脱帽。

妻への家路 [DVD]

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久々のチャン・イーモウ作品は、切ない映画だ。いつもの派手な色を押さえていた。

外国映画は、以上12本を挙げる。



【日本映画】

  1. 海街diary是枝裕和
  2. 恋人たち(橋口亮輔
  3. この国の空荒井晴彦
  4. 日本のいちばん長い日(原田眞人
  5. あん(河瀬直美
  6. 母と暮せば(山田洋次
  7. FOUJITA(小栗康平
  8. 岸辺の旅(黒沢清
  9. きみはいい子(呉美保)
  10. 駆け込み女と駆け込み男(原田眞人
  11. 杉原千畝チェリン・グラック

ベスト1は、やはり是枝作品になってしまう。

日本のいちばん長い日 [DVD]

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戦後70年という区切りの年に相応しい映画といえば、「この国の空」「日本のいちばん長い日」「母と暮せば」となる。
原田眞人監督作品が2本入った。

野火 [DVD]

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塚本晋也×野火

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戦争映画としては、塚本晋也「野火}があるが、映画としては過去の市川崑作品と比べてしまう。大岡昇平原作を尊重したい。

きみはいい子 DVD

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呉美保「きみはいい子」も気になる作品だった。

北野武龍三と七人の子分たち」は、老人たちを主役に据えての徹底した娯楽作品に仕上げていた。