日本の夜と霧


大島渚監督は、『御法度』(1999)を最後に映画を撮れないまま、闘病生活を続けていた。2013年1月15日に他界の訃報がニュースで伝えられた。大島監督といえば、吉田喜重篠田正浩監督とともに松竹ヌーヴェルヴァーグを牽引した。『日本の夜と霧』(1960)の封切後4日で打ち切られたことを受けて、松竹を退社し、創造社をおこし、自ら納得のいく企画によって映画を撮り続けた。その後、1975年には新たに「大島渚プロダクション」を設立、『愛のコリーダ』(1976年)を製作した。


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御法度 [DVD]

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この『愛のコリーダ』以降、世界のOshimaとなって行くわけだが、外国資本による映画『愛の亡霊』(1978)『戦場のメリークリスマス』(1983)『マックス、モン・アムール』(1987)『御法度』(1999)と続くわけだが、個人的には、松竹および創造社時代の作品を評価したい。


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つまり、

  • 『青春残酷物語』(1960)
  • 『日本の夜と霧』(1960)
  • 『白昼の通り魔』(1966)
  • 『日本春歌考』(1967)
  • 『絞首刑』(1968)
  • 『少年』(1969)
  • 『儀式』(1971)


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絞死刑 [DVD]

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あたりが評価の対象になる。

ちなみにマイベスト3は次のとおりである。

  1. 『儀式』(1971)
  2. 『日本の夜と霧』(1960)
  3. 『少年』(1969)


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なおこれは余談だが、この松竹ヌーヴェルヴァーグの三監督はいずれも、松竹の美人女優(小山明子岡田茉莉子岩下志麻)と結婚している。日本映画全盛期をやや過ぎていた時期にあたるが、監督と女優の結婚は、日本映画史上めずらしくはない。


最近でいえば、園子温監督と神楽坂恵石井裕也監督と満島ひかり周防正行監督と草刈民代青山真治監督と「とよた真帆」あたりだろうか。故伊丹十三監督と宮本信子は、監督&女優の名コンビであった。
映画監督は、女優と結婚すべきである*1というのが、私の持論で、監督稼業は経済的に不安定である。それを支えるのが、女優の役割だといえば、フェミニストたちに叱られるだろうか。

俳優同士の結婚は、離婚に至るケースが多いことは、周知のとおりである。

それにしても、大島渚監督の評価は、女優・妻であった小山明子抜きでは語れない。小山明子さん、これからも女優を継続してください。

大島渚氏のご冥福をお祈りしたい。合掌。


*1:吉永小百合が、女優として優れていることは申すまでもないが、いまひとつもの足りない。話題作を撮っているのだが、近作の作品は残酷なまでにむなしい。彼女を制御する、演技を引き出せる監督との出会いが、少なくとも日活時代にあったはずだ。が、TVプロデューサと結婚してしまった。女優・吉永小百合を最大限に引き出せる監督に出会えなかったことが、俳優としての不運であったと、あくまで私的な感想だが、思うのだ。