映画

映画ベストテン2016

今年2016年に観た映画は、93本。目標を80本に落としたので、一応クリアしたことになる。『キネマ旬報』12月下旬号掲載の「ベストテン選出用作品リスト」の中から、以下のとおり選出した。 【日本映画】1)FAKE(森達也) 2)牡蠣工場(想田和弘) 3)永…

若尾文子映画祭

地方では、めずらしく「若尾文子映画祭」計12本が、6週間に亘り公開された。VTRやDVDで見てはいるものの、スクリーンで観るのは初めてという作品が多い。一般的には、増村保造により女優・若尾文子が創造されたという見方がされる。しかし、その他の監督によ…

さざなみ

アンドリュー・ヘイ監督の、というよりシャーロット・ランプリング主演の『さざなみ』(原題:45 years,2015)は、結婚45年目の記念パーティを準備している時に、夫トム・コートニーは、山岳事故で亡くなった女性が見つかったという知らせを受ける。夫婦の関…

牡蠣工場

2016年上半期に観た映画の中から、日本映画は『牡蠣工場』を、外国映画は『さざなみ』をとりあげる。 想田和弘監督、観察映画第6弾『牡蠣工場』(2016)を観る。岡山県牛窓地区にある牡蠣工場を、例のごとく観察した映画である。想田氏は、ドキュメンタリー映…

ハッピーアワー

ロカルノ映画祭で、素人女性4人が主演女優賞を受賞したことが話題となった。5時間17分の映画『ハッピーアワー』は、常識では長すぎるし、途中休憩時間があり、その都度別料金になるので、三本分の代金が必要だが、連続して一日で、観るには少し辛い。で、2日…

映画ベストテン2015

恒例の映画回顧。2015年「キネマ旬報」12月下旬号に掲載された「ベストテン選出用作品リスト」から、以下のとおり選出してみた。2015年にスクリーンで観た映画は、105本。 【外国映画】 Mommy/マミー(グザヴィエ・ドラン) セッション(デミアン・チャゼル…

原節子さんの死去

原節子さんが、9月5日に逝去されていたことが報じられた。リアルタイムで観た映画はないけれど、小津安二郎『晩春』から始まる紀子三部作が代表作だろう。 あの頃映画 松竹DVDコレクション 晩春 デジタル修復版出版社/メーカー: 松竹発売日: 2015/12/02メ…

ギャラクシー街道

三谷幸喜脚本・監督『ギャラクシー街道』(2015)を観た。本作に関する限り、ネット上の評判は「酷評」であるらしい。なるほど、これまでの三谷作品は、どれもほど良いコメディであり、見るものに、一種の心地良さを提供してきた。これまでの映画作品を時系…

マノエル・ド・オリヴェイラを追悼する

2015年4月2日、ポルトガル映画の巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ(1908〜2015)が、106歳で他界されたとの報道があった。特に80歳を超えてから毎年一本の映画を撮り続け、100歳を超えてなお映画を撮ってきた。最後に観た『家族の灯り』(2012)は、ジャンヌ…

映画ベストテン2014

今年も恒例の映画ベストテン。『キネマ旬報』12月下旬号に掲載されたベストテン候補リストから選出した。2014年に映画館で観た映画は、100本だった。 今年一番の話題映画は、ラース・フォン・トリアー『ニンフォマニアックVOL.1,2』だろう。このフィルムをど…

『WOOD JOB !神去なあなあ日常』

神去なあなあ日常作者: 三浦しをん出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2014/01/24メディア: Kindle版この商品を含むブログ (10件) を見る 日本映画の上半期収穫のもう一本は、矢口史靖監督の『WOOD JOB !神去なあなあ日常』(2014)であった。これも原作は三…

ぼくたちの家族

石井裕也脚本・監督『ぼくたちの家族』は、母・原田美枝子の深刻な病気を発端に、夫・長塚京三、長男・妻夫木聡、二男・池松壮亮の家族が、それぞれ問題を抱えながらも、母の病の原因究明と治療に、各々の位置で、母を心から大切に思える家族となる物語であ…

映画ベストテン2013年

恒例に従って、『キネマ旬報』2013年12月下旬号掲載の「ベストテン選出用作品リスト」をもとに、私が映画館・スクリーンで見た映画を選出した。なお、今年は久々に100本を超え、114本観た。 【日本映画】1)「ペコロスの母に会いに行く」(森崎東) 2)「かぐ…

世界の全ての記憶

アラン・レネ/ジャン=リュック・ゴダール 短編傑作選 [DVD]出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2001/05/25メディア: DVD購入: 1人 クリック: 51回この商品を含むブログ (29件) を見る 老婦人を演じたエマニュエル・リヴァから、アレン・レネが戦後の広島…

愛、アムール

愛、アムール [DVD]出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2013/09/06メディア: DVD クリック: 2回この商品を含むブログ (15件) を見る ミヒャイル・ハネケ『愛、アムール』(2012)をやっと見ることができた。老夫婦が迎える、老いと病気。妻が病に倒れ、自宅療…

第85回アカデミー賞作品

この連休になってやっと『リンカーン』を観た。これによって第85回アカデミー賞受賞作をほぼ観終わったので、アメリカ社会を映す鏡として考えると納得できる部分もあるが、?マークがつく作品もあった。その感想を以下に。アルゴアルゴブルーレイ&DVD (2枚組…

日本の夜と霧

大島渚監督は、『御法度』(1999)を最後に映画を撮れないまま、闘病生活を続けていた。2013年1月15日に他界の訃報がニュースで伝えられた。大島監督といえば、吉田喜重、篠田正浩監督とともに松竹ヌーヴェルヴァーグを牽引した。『日本の夜と霧』(1960)の…

映画ベストテン2012

2012年に映画館で観た本数は90本。『キネマ旬報12月下旬号』掲載のベストテン選出用リストに該当する作品の中から選出した。 今年の映画は、想田和弘監督の観察映画第3弾『演劇1』、第4弾『演劇2』に尽きるだろう。脚本家・演出家として著名な平田オリザを…

僕達急行 A列車で行こう

森田芳光の遺作『僕達急行 A列車で行こう』(2012)は、いかにも森田作品らしく、落語(『の・ようなもの』)でメジャーデビュー、鉄道オタクで締めたかたちになった。細部へのこだわりは、本作でも如何なく発揮されている。松山ケンイチ(小町)と瑛太(小…

イタリア映画界の異端児 アゴスティの世界

イタリア映画といえば、ロベルト・ロセリーニ、ルキノ・ヴィスコンティ、フェデリコ・フェリーニなどの巨匠監督がただちに想起されるけれど、寡聞にしてシルヴァーノ・アゴスティなる作家名を初めて聞いた。 イタリア・インディーズ系の映画監督にして作家で…

アンゲロプロスを追悼する

テオ・アンゲロプロスの訃報は突然だった。交通事故死。20世紀新三部作を製作中の1月24日、トンネル内で、オートバイにはねられるというアクシデント。残念というか、あまりにも惜しい人を亡くした。『エレニの旅』(2004)公開の後、『第三の翼』(2009)の…

追悼・森田芳光

今年、映画人の訃報が多かった。とりわけ年末、森田芳光の突然の死に驚いた。『の・ようなもの』(1981)以来、公開される度にリアルタイムで観てきた映画監督の死は、哀しい。昨年『武士の家計簿』(2010)をベストテンにあげている。森田氏を追悼する意味…

映画ベストテン2011

今年は、88本の中から選出した。対象は「キネマ旬報2011ベストテン選出用リスト」とした。外国映画、日本映画とも、原発関連のドキュメンタリーがベスト1となった。【外国映画】 1.100,000年後の安全(マイケル・マドセン) 2.コンテイジョン(スティーブン…

ヒアアフター

スピルバーグ製作、クリント・イーストウッド監督作品『ヒアアフター』(Hereafter, 2010)を観てきた。期待以上の素晴らしいフィルムになっている。リゾ−ト地で津波に襲われ臨死体験をした女性ジャーナリスト・マリー・ルレ(セシル・ドゥ・フランス)、双…

ウンベルトD

ウンベルトD [DVD]出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2011/01/29メディア: DVD購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (1件) を見る ヴィットリオ・デ・シーカ『ウンベルトD』(1952)が、DVD発売されたので早速鑑賞した。加藤周一はかつて『夕…

映画ベストテン2010

今年を回顧する時期となった。まずは映画から。今年スクリーンで観た映画は、80本。少なくなった分は、ソクーロフ、カネフスキー、スコリモフスキ、フリッツ・ラングなどの旧作をDVD-BOXでみているので、トータルとしては年間100本以上になるだろう。徐々に…

17歳の肖像

『プレシャス』とは一見、対照的な環境にある16歳の少女ジェニー(キャリー・マリガン)は、オックスフォード大学を目指すエリート女学生。彼女は中年の男性デイビッド(ピーター・サースガード)に魅かれ恋をし、17歳で結婚まで決意するが、男性が既婚者で…

プレシャス

アカデミー賞助演女優賞受賞で話題となった『プレシャス』(Push, 2009)を観た。アフリカ系アメリカン(黒人)で、ハーレム育ちの少女クレアリース・「プレシャス」・ジョーンズ(ガボレイ・シディベ)の眼で捉えた現実。 プレシャス [DVD]出版社/メーカー: …

アリス・イン・ワンダーランド

ティム・バートン&ジョニー・デップの『アリス・イン・ワンダーランド』(2010)を観る。3Dで製作されているが、通常の画面で十分だ。映画の3Dはこれまで何度も試みられたが、ジェームス・キャメロン『アバター』の成功により、映画は一見3D化に向かっ…

スラヴォイ・ジジェクによる倒錯的映画ガイド

『スラヴォイ・ジジェクによる倒錯的映画ガイド』(The Pervert's guide to Cinema,2006)がDVD化され、注文していた商品が発売日(8月6日)に届いた。監督ソフィー・ファインズは、俳優レイフ・ファインズやジョセフ・ファインズの姉である。 [rakuten:surp…