僕達急行 A列車で行こう


森田芳光の遺作『僕達急行 A列車で行こう』(2012)は、いかにも森田作品らしく、落語(『の・ようなもの』)でメジャーデビュー、鉄道オタクで締めたかたちになった。細部へのこだわりは、本作でも如何なく発揮されている。松山ケンイチ(小町)と瑛太(小玉)の組み合わせは、既成の二人のイメージとは異なる鉄道オタクに仕立てあげている。
『僕達急行』は、連作を予見させるフィルムで、森田ワールドらしい。つねに時代の先端を走りながらも、決して古びることのない映画作品を作り続けていた森田芳光は、もっと評価されていい映画作家である。