映画
昨日のブログで時代劇復活に言及したので、時代劇最盛期のスター俳優であった市川雷蔵について記録しておきたい。 新・平家物語 [DVD]出版社/メーカー: 角川エンタテインメント発売日: 2009/11/27メディア: DVD クリック: 37回この商品を含むブログ (12件) …
時代劇の復活は、藤沢周平原作、山田洋次監督『たそがれ清兵衛』(2002)から始まった。山田洋次は藤沢時代劇三部作として、『隠し剣鬼の爪』(2004)『武士の一分』(2006)と併せて、時代劇映画復活の嚆矢となった。たそがれ清兵衛 [DVD]出版社/メーカー: …
アレクサンドル・ソクーロフ『チェチェンへ アレクサンドラの旅』(2007)をスクリーンで観た。ソクーロフ作品をスクリーンで観る機会は少ない。貴重な機会を逃したくない。本作はソクーロフ自らが脚本を書いたもので、ロシア軍駐屯地を訪れる祖母アレクサン…
2010年1月12日の新聞報道で、ヌーヴェル・ヴァーグの牽引者エリック・ロメールの訃報(11日他界)が伝えられた。かつて「覚書」として記録した「優雅で繊細な古典的恋愛喜劇」作家としてのロメール論を以下に貼付することで追悼にかえたい。 【優雅で繊細な…
今年の収穫、映画の部。今年映画館で観た映画は91本。100本には届かないが、目標を80本に下げたのでクリアしたことになる。邦画の人気が高いといわれているが、やはり今年も外国映画に圧倒された。映画の3D化は、本質的な解決にはならない。歴史が証明する…
想田和弘氏の観察映画第二弾『精神』(2009)を観ると、健常者と患者との見極めが難しい。病気により自己の哲学を詩的に形成している人がいる。患者への偏見を払拭するためには必見の「観察映画」。想田監督のメッセージを引用する。 僕の前作『選挙』(観察…
羽田澄子『嗚呼 満蒙開拓団』(2008)に衝撃を受ける。旧日本政府による満州開拓団の積極的なプロパガンダは何だったのか。敗戦時の引き上げは、関東軍や満鉄関係者とその家族中心であり、開拓民家族は見棄てられた。「中国残留孤児」とは、日本の植民地政策…
ジョー・ライト『路上のソリスト』(米、2009)路上のソリスト [DVD]出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル発売日: 2009/10/23メディア: DVD クリック: 24回この商品を含むブログ (24件) を見る
テンギス・アブラゼ『懺悔』(旧ソ連、1984)懺悔 [DVD]出版社/メーカー: アップリンク発売日: 2009/11/06メディア: DVD クリック: 19回この商品を含むブログ (8件) を見る
西川美和『ディア・ドクター』(日本、2009)ゆれる [DVD]出版社/メーカー: バンダイビジュアル発売日: 2007/02/23メディア: DVD購入: 3人 クリック: 216回この商品を含むブログ (600件) を見る
ロシアのアニメといえば、ユーリ・ノルシュテイン『話の話』などが想起されるが、ソ連時代のプロパガンダとして作られたアニメーションが、その制約の中で実に、工夫がこらされ、あるときは前衛的であり、また斬新な映像やきわめて刺激的な表現方法をとって…
タイトルバックで80年代のプロレスのポスターが映され、人気絶頂であったランディ(ミッキー・ローク)について中継風に語られる。映画はその20年後から始まる。控え室に背中を向けてすわる中年のプロレスラー、彼の背中をキャメラは執拗に追って行く。…
ジャンヌ・ダルク裁判に関する映画の代表的なものとして、カール・Th・ドライヤー『裁かるるジャンヌ』(1928)と、ロベール・ブレッソン『ジャンヌ・ダルク裁判』(1962)の二本がある。 裁かるゝジャンヌ クリティカル・エディション [DVD]出版社/メーカー…
クリント・イーストウッド『グラン・トリノ』(2008)は、最後の主演作として、見事に俳優人生に決着をつけている。感度的なラストシーンを持つ傑作だ。今年79歳になるイーストウッドは、『ローハイド』のテレビ俳優として日本で知られ始めた。かれがイタリ…
『朝日新聞(大阪版)』2009年4月6日朝刊に、『「おくりびと」に危機感』と題して、全日本仏教会会長の松長有慶氏の談話が掲載されていた。内容が気になったので、少し感想を記しておきたい。 おくりびと [DVD]出版社/メーカー: セディックインターナショナ…
ダニー・ボイル監督、アカデミー賞作品・監督賞受賞の『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)を公開初日に観た。『トレインスポッティング』(1996)で進出してきたイギリス人監督は、以後、ハリウッドシステムの中でいまひとつ、本来の実力が出てないなと感…
ストローブ=ユイレの作品を観ると、緊張感が伝わってくる。最初に見たのがビデオ『アンナ・マクダレーナ・バッハの日記』(1967)であり、レオンハルト扮するバッハの演奏や、ケーテン候役のアーノンクールなど、本格的な古楽器を使用して演奏されるバッハ…
ペドロ・コスタが、『シチリア!』の編集過程を撮影した『あなたの頬笑みはどこへ隠れたの?』も、同時に発売されている。フィルムを再編集するダニエル・ユイレにジャン=マリー・ストローブが、細かく注文をつけるため、1日に数カットしか編集が進まない。…
ストローブ=ユイレ『シチリア!』(1999)がDVDでこの1月に発売された。このDVDには、本篇以外に舞台版や短編二本と、撮影風景などが収録されている。まず、本篇63分と、舞台上演版70分を観るが、率直に言って理解しがたい。理解を超える作品といえる。スト…
1月31日公開の続編『チェ 39歳別れの手紙』(Che part2;Guerrilla, 2008)を観る。第一部が「明」とすれば、第二部は「暗」に相当する。画面は終始暗い。ボリビアに偽名で侵入し、ゲリラ闘争を指導するゲバラは、ボリビア共産党からの支援を得られず、ゲリラ…
スティーブン・ソダーバーグ『チェ 28歳の革命』(Che part1;The Argentin 、2008) を観る。アルゼンチン生まれのゲバラが、カストロと出会いキューバ革命の成功までを描いた二部作の前半、いわば栄光のチェ・ゲバラを描く。 オリジナル・サウンドトラック …
F.W.ムルナウ『最後の人』(Der Letzte Mann, 1924)の復元修復版をDVDにて観る。字幕は冒頭と、途中、超一流ホテルの老ポ−ター、エミール・ヤニングスが解雇されるシーンで通知が文字で出るのみで、ラストのエピローグまで、一切字幕がでない。映像ですべてを…
G.W.パプスト『パンドラの箱』(Die buechse der Pandora, 1929)をDVDにて観る。ファム・ファタールとして著名な「ルル」こと、ルイーズ・ブルックスの代表作である。 パンドラの箱 クリティカル・エディション [DVD]出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: …
F.W.ムルナウ『サンライズ』(Sunrise, 1927)をDVDにて観る。トリュフォーが「世界一美しい映画」と絶賛したサイレントフィルム。確かに、その映像は輝くばかりに美しく、モノクロ画面に光と影のコントラストが絶妙に造形され、シンプルなストーリーと相…
『ビクトル・エリセDVD−BOX』(紀伊国屋書店、2008.12)が、2008年末に発売された。予約していたものが、年末に届き、本日、未見で日本初DVD化となる『挑戦』(Los Desafios,1969)を観た。 ビクトル・エリセ DVD-BOX - 挑戦/ミツバチのささやき/…
2008年に映画館で観た映画は、82本。これまで100本を年間目標にしてきたが、今年から80本に下げた。目標を下げたので、何とかベストテンの選出ができそうだ。【日本映画】 「トウキョウソナタ」(黒沢清) 「おくりびと」(滝田洋二郎) 「実録・連合赤軍」…
無表情のビートたけしが、妻樋口可南子に支えられ川沿いを歩くシーン。北野武監督『アキレスと亀』(2008)は、芸術の評価の基準の曖昧さと、「芸術」にとりつかれながら主体性を持たない一人の男の半生を実にシニカルに捉えたフィルムになっている。 アキレ…
やむを得ない事情がないかぎり飛行機には乗りたくない。仕事上の出張や、自ら望んで行く旅行以外では、飛行機は避けたい乗り物だ。私たちが飛行機に乗るとき、せいぜいCS(キャビンアテンダント)の女性たちや、地上勤務のGS(グランドスタッフ)の女性…
俳優・緒形拳氏の訃報を聞き、衝撃を受けている。緒形拳の作品で一番印象深いのは今村昌平監督『復讐するは我にあり』(1979)になる。詐欺師で殺人者・榎津厳役は、緒形氏の役者人生において、演じる役の幅を広げたという意味では画期的な作品だった。同じ…
押井守のフィルムを遡及しながら、アニメ作品は『うる星やつら2、ビューティフル・ドリーマー』(1984)までたどり着いた。いわゆる押井節の原点がこの作品にあったことが分かった。終わらない学園祭前夜、繰り返される前夜祭、何度も反復される行動は、最…