愛、アムール
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ミヒャイル・ハネケ『愛、アムール』(2012)をやっと見ることができた。老夫婦が迎える、老いと病気。妻が病に倒れ、自宅療養を希望する。
夫ジャン=ルイ・トランティニャンは、妻エマニェル・リヴァの介護を看護師の助けを借りながら始めるが、次第に妻は人間らしさを喪失していく。このあたりの描写は、いかにもハネケ調でリアリティに富む。アラン・レネ『二十四時間の情事(Hiroshima, mon amour)』(1959)で、岡田英次と共演した美女がエマニュエル・リヴァであった。あれから50年を経過して80歳をこえるであろう、エマニュエル・リヴァは、冒頭とラストでは美しい老婦人であるが、病気の発症とともに、次第に人間性を喪失していく。
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誰もが、老いと死を迎える。映画では美化されがちだが、ミヒャエル・ハネケは、その点を妥協しない。恐るべきフィルムだった。