ギャラクシー街道
三谷幸喜脚本・監督『ギャラクシー街道』(2015)を観た。本作に関する限り、ネット上の評判は「酷評」であるらしい。なるほど、これまでの三谷作品は、どれもほど良いコメディであり、見るものに、一種の心地良さを提供してきた。
これまでの映画作品を時系列にみると、、
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とそれぞれ、舞台設定は異なるが、オリジナルな新鮮さと笑いのツボを押さえた楽しい作品だった。
ところが、『ギャラクシー街道』は宇宙が舞台のSF,西暦2265年の通称「ギャラクシー街道」上にあるハンバーガーショップが舞台。香取慎吾と綾瀬はるかの夫婦が経営する。
いわば舞台劇であり、SF設定のためキャラクターの設定が自由である。ただ、内容的に暗く、個人的な趣味による好悪が、強く押し出されているので、共感度は低い。
三谷自身は、ビリー・ワイルダーの艶笑コメディを志向しているようだ。
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宇宙での愛情表現は、ジェーン・フォンダ主演「バーバレラ」へのオマージュであり、変身もの映画のパロディあり、宇宙船通路は「スターウオーズ」を連想させる。また白塗りのピエロは、『天井桟敷の人々』のジャン・ルイ・バローであり、耳がとがっている異星人は『スタートレック』のミスター・スポック役=レナード・ニモイであり、個別の工夫は多くの映画からの引用が分かれば、過去の数多くのフィルムへのオマージュが表示されていて、それなりに面白い。
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しかし、艶笑話が暗い内容になっていて、素直に笑えないことも確かだ。唯一、大竹しのぶの秀逸な演技が見物だ。
三谷幸喜脚本・映画は、すべてがコメディであり、爆笑コメディから艶笑コメディへ幅広く、映画化した。『ギャラクシー街道』は断じて、駄作ではない。
ハリウッド映画が、やれ地球滅亡だの、ノンストップ・アクションだのと、演技が第二の要素になっている現状をみると、同じSFでも、ビリー・ワルダーを志向する志や良しと思いたい。