自由について


注文しておいた丸山眞男『自由について 七つの問答』(編集グループSURE)が届く。*1
朝日新聞2005年6月28日(火)に、この書物が紹介されていた。鶴見俊輔たちによる「文体の会」が、1984年、1985年の2回にわたり、丸山眞男から聞くというかたちで、七つの質問を用意した。目次は、それぞれが長いので質問者の一人である塩沢由典の「解説」から以下に簡潔にまとめておく。

七つの質問とは、
1.思想の「正統と異端」について
2.「日本思想史における仏教」
3.「服従ー不服従について」
4.「マルクス主義」について
5.「反動の概念」について
6.「政治の世界」について
7.日本の「国民的統合」について

であり、今回の刊行について鶴見氏は次のように言う。

丸山門下の伝える丸山像とは違い、丸山さんがなぜ丸山さんになったかが理解できる面があるので、出してもいいと思った(朝日新聞、上掲)

また、本書の解説には、

この座談記録を読んで、いつも私の心にあることだけれども、丸山眞男への敬意を新たにした。私たちに対して、病中、よくもこのように誠意をもって対していただけたと思う。(p.262)

と記している。鶴見俊輔は、丸山氏のこのような対話を、荒川洋治の詩『心理』によって説明している。


荒川洋治の『心理』の一部を以下に引用する。

昭和二十年 終戦の年の十二月
静岡県三島市に「庶民大学」の序章は生まれた
講師は三十一歳の
東大助教丸山眞男
学生、商店主、農民、主婦、子犬が集まる。
講義の中心は「なぜ戦争は起きたのか。どうして日本人は戦争を阻止できなかったのか」
という根本的自他の冬の問いかけに応えるもので
荒川洋治『心理』(p.30−31)

心理

心理

丸山眞男の姿勢は、戦後の三島市における「市民大学」から一貫して変わらなかったことは強調していい。吉本隆明によって批判された丸山像は、歪んだ側面にしかすぎない。

柳田国男論・丸山真男論 (ちくま学芸文庫)

柳田国男論・丸山真男論 (ちくま学芸文庫)


丸山眞男『自由について』が出版されたことを歓びたい。感想は後日、まずは紹介まで。*2
本書の入手は、「編集グループSURE」http://www.groupsure.net/
で直接購入のみ。


丸山眞男を理解する必読書

・『日本政治思想史研究』*3
・『現代政治の思想と行動』*4
・『日本の思想』*5

・『忠誠と反逆』

・『自己内対話』

自己内対話―3冊のノートから

自己内対話―3冊のノートから

*1:この書物にはISBNがない。あえて「国際標準図書番号」を付けないのは、出版者の意思だろう。

*2:島尾敏雄『「死の棘」日記』に続いて宿題がたまる一方だ。

*3:ISBN:4130300059

*4:ISBN:4624300041

*5:ISBN:400412039X