小津ごのみ
中野翠『小津ごのみ』(筑摩書房、2008.2)は、『ちくま』連載中から気になっていた。いずれ一冊の本になることを待つことにした。小津安二郎について何かを書いておきたいという願望は、小津ファンなら誰もが考えることだ。しかし、こと小津に関しては夥しい小津論が書かれている。これ以上、屋上屋を重ねるほどの内容が書けるのだろうか。
- 作者: 中野翠
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/02
- メディア: 単行本
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小津映画をどの切り口から読むのか。中野翠は、まずファッションや小物から見て行く。女優たちが着る着物の柄や帯、男たちの服装から小津のダンディズムを読み取る。
紀子や周吉など、名前のこだわり。台詞の持つ意味深さ。「人間生活の歴史の順序」が笠智衆によって語られること等々。
- 作者: 笠智衆
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2007/05/08
- メディア: 文庫
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中野翠が小津を語るときは、とても幸福そうにみえる。小津映画がもつリズムの心地よさ。小津映画について様々な人々が、時には映画評論家、文学者、学者、文芸詳論家等々、錚々たる人たちが、小津を語る。誰もが小津について何かを語る。
- 作者: 佐藤忠男
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2000/09
- メディア: 文庫
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しかしはて何をと思うと、ローアングルだの、交錯しない視線だの、台詞の棒読みだの、道具が本物であることだの、何かを語ると、たちまち紋切り型に陥ってしまう。
いつかは、小津安二郎について書きたい。がしかし、それは今ではない。その時ではない。紋切り型に徹して反復する、あるいは斬新な切り口から読む、それ以外は凡庸な内容にしかなるまい。
- 出版社/メーカー: 松竹
- 発売日: 2003/12/25
- メディア: DVD
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小津の戦後作品はすべて見ているが、戦前サイレント作品は未見のフィルムが多い。中野翠『小津ごのみ』によれば、戦前のモダンボーイぶりが、小津作品の原点になっているようでもある。『晩春』以後の小津的世界に理想の、しかし現実にはありえないきわめて人工的・作為的な家族が、繰り返し観ることを要請するほど魅力があることは確かだ。小津安二郎は謎そのものである。
- 作者: 蓮實重彦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2003/10
- メディア: 単行本
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中野翠さんの小津論は、蓮實重彦『監督 小津安二郎』(筑摩書房,2003.10)に対置すると、映画の見方、切り口の差異が興味をかきたてる。換言すれば、刺激的な書物だ。
- 作者: 厚田雄春,蓮實重彦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1989/06
- メディア: 単行本
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小津を語ることの難しさ。中野翠『小津ごのみ』を半ば楽しみながら、半ばうーんそれはどうかな、などと思いながらも、本書は女性ならではの視点による新鮮味のある小津論になっている。一読の価値あり。
- 作者: 吉田喜重
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1998/05/20
- メディア: 単行本
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国際シンポジウム 小津安二郎 生誕100年「OZU 2003 」の記録 (朝日選書)
- 作者: 蓮實重彦,山根貞男,吉田喜重
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2004/06/11
- メディア: 単行本
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