スカーレット・ストリート


ジャン・ルノワールの『牝犬』をリメイクしたのがフリッツ・ラングスカーレット・ストリート』(1945)であり、日本未公開、今秋発売のDVDで初めて観ることができた。大筋は、ルノワール版と同じだが、中年男エドワード・G・ロビンソンが画家であることをより意識したフィルムになっている。



魅惑的な美女は『飾り窓の女』(1944)に続いてジョーン・ベネットが演じている。ファム・ファタールとしての女優にぴったりで、女性の怖さを知るには良い作品だ。

ルノワールとラングを比較してもあまり意味がない。映画のスタイルが違う。『スカーレット・ストリート』はすべてセットで撮られており、光と影の演出はいかにもドイツ表現主義的な手法だ。

この2本を続けて観るとより映画の持つ魅力を発見することができるし、映画とは何かが伝わる仕掛けになっている。

ミシェル・シモンエドワード・G・ロビンソンという個性的な俳優の持つ雰囲気が、ラストシーンに大きな違いをもたらしているところも見所だ。

これは余談だが、ゴダールフリッツ・ラングを『軽蔑』に登場させていることは周知のとおり。


軽蔑 [DVD]

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