プロデューサーズ
ミュージカル映画の全盛期は、1950年代以前だろう。名作といわれる『ウエストサイド物語』がスタジオの外にキャメラを持ち出した画期的なフィルムであったことは認めたい。しかし、スタジオから出たキャメラは、ミュージカル映画が持つ虚構性と限定された空間での華麗なダンスシ−ンを皮肉にも排除することになった。
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フレッド・アステアやジーン・ケリーが築いてきたカット割りをしないダンスシーンの映像化こそミュージカル映画の真髄であり、娯楽映画として黄金時代を現出させたのだった。その伝統を見事に復活した映画が、メル・ブルックス原作・脚本『プロデューサーズ』である。黄金時代の、あの華麗なセット撮影によるダンスシーンの再現。メル・ブルックスは、『新サイコ』に見られるようにパロディの名人だ。『プロデューサーズ』は、過去のミュージカル映画とりわけ、50年代のMGMへのパロディとオマージュに満ちている。映画版のオリジナルは、メル・ブルックスが監督としてメガホンをとっている。
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マシュー・ブロデリックとユマ・サーマンは、アステアとロジャース(あるいはシド・チャリシ)の優雅で華麗なダンスを再現している。マシュー・ブロデリックが職場で夢みるシーンでは、シルクハットにステッキという衣装やバックダンサーとの均衡など、フレッド・アステアになりきっている。映画内舞台劇の『春の日のヒットラー』では、バズビー・バークレーの俯瞰ショットを模倣している。
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MGMミュージカル映画の特質は、ストーリーは単純明快だが、唄とダンスが満ち溢れている楽しい構成にある。『プロデューサーズ』はまさに、その伝統にしたがった映画で、こんなに笑いながら楽しく映画を観たのは久しぶりだ。だめプロデューサーのネイサン・レインと臆病な会計士マシュー・ブロデリックに、スウェーデンからきた長身女優ユマ・サーマン(イングリッド・バーグマンを想起させる)が加わったトリオに、脇役陣の素晴らしさであろう。
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監督に起用したのは、ブロードウエイ舞台の女性演出家スーザン・ストローマン。原作者のメル・ブルックスの意図を見事に映画化している。最後のカーテンコールのラストで、メル・ブルックスが顔を出しているのはご愛嬌であり、観るものに嬉しいプレゼントでもあった。
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ちなみに、私のミュージカル映画映画のベストワンは『雨に唄えば』であり、俳優ではフレッド・アステアになる。つまり、フレッド・アステアとジーン・ケリーが、ミュージカル映画の代表であり、彼らを超えるスターは存在しないのだ。
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