考えるヒント


新装版 考えるヒント (文春文庫)

新装版 考えるヒント (文春文庫)



小林秀雄の『考えるヒント』が文春文庫・新装版で出版された。


小林秀雄は難解である。真贋を断定的に語るレトリックは、誰も真似をすることなどできない。しかし、この『考えるヒント』だけは、例外的に判りやすい。それは、「常識」が書かれているからだ。この「常識」の世界から、いかに遠くまできてしまったのか。冒頭から三篇「常識」「プラトンの『国家』」「井伏君の『貸間あり』」それに「平家物語」などを読むと、眼前の霧が晴れる思いがする。


ここでの『貸間あり』は、川島雄三作品で、映画としては傑作だと思う。小林秀雄は、映画について根本的に理解しようとしなかったから、あくまで、井伏鱒二の作品として言及している。


それはそれとして、わたしたちは、何に囚われているのか。『考えるヒント』一冊があれば、この世は生きてゆけることを思い知らされる。


8月15日は、敗戦記念日
小林秀雄の発言には、強烈なイロニーがある。

「僕は歴史の必然性というものをもっと恐ろしいものと考えている。僕は無智だから反省なぞしない。利巧な奴はたんと反省してみるがいいじゃないか。」
(1946年の座談会での小林秀雄の発言)

小林秀雄ベルグソン論『感想』は、遅々として進まず、かといって、『本居宣長』も同じく一向に進まない!行きつ戻りつ。ぷふぃ!


小林秀雄全集〈別巻1〉感想

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小林秀雄全集〈第14巻〉本居宣長

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