ヴァイブレータ



赤坂真理の原作は読んでいない。フリーの女性ルポライター早川玲=寺島しのぶは、とあるコンビニで、長距離トラックの運転手岡部=大森南朋に出会う。彼に声を掛け、トラックに同乗する。岡部のやさしさは、ほんとんど奇蹟といってもいい。岡部と出会い、自分を蘇生させることができた玲にとって、脚本家・荒井晴彦が、女性の視点から理想の男性を描いたものになっていることで、ありえないはずのリアリティを獲得している。


30歳を過ぎて、仕事にも男にも満足できない、将来への不安など様々な問題を抱える女性を、等身大で演じている、寺島しのぶは、岡部の前ですべてをさらけ出している。換言すれば、「欲望と民主主義」の双方が寺島しのぶにおいて結合されているといえるだろう。問題は、この先、どのような方向に進むかである。吉永小百合路線ではないことに安心しているのだが。。。


大森南朋は、『赤目四十八瀧心中未遂』と『ヴァイブレータ』の2本に出演している。7月27日に紹介した『深呼吸の必要』にも。今後の活躍が、期待される男性俳優のひとりだ。