赤目四十八瀧心中未遂

赤目四十八瀧心中未遂 [DVD]

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車谷長吉原作・直木賞受賞作の『赤目四十八瀧心中未遂』(文春文庫)のストーリーは、紹介するまでもないだろう。車谷氏の自伝的要素がきわめて大きく、東京から逃避して関西を放浪している生島は、この小説では、尼崎の路地奥で臓物に串をさす仕事で生計を立てている。原作は、生島の眼でみた底辺に活きる人々であり、その中でひときわ輝いていたのが、彫師の愛人・綾ちゃんであった。


映画版では、原作に沿いながらも、綾=寺島しのぶの存在感が大きくなっている。生島と逃げることで、やくざな世界から抜け出すことができたはずだ。けれども、瀧のシーンで「生島さん、ウチ、もうええの」とつぶやいてしまう。謎を含む魅惑的女性を演じて映画の各種の賞を総なめしたのは周知のとおりである。舞台の演技で芸を磨き、映画へ進出した寺島しのぶは、この作品と次の『ヴァイブレータ』で、実力を発揮した。


赤目四十八瀧心中未遂

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