寺島しのぶ


映画女優 若尾文子

映画女優 若尾文子



四方田犬彦斉藤綾子編著『映画女優若尾文子』(みすず書房、2003)を、ひとりの女優を本格的に論じた書物の嚆矢として読んだ。四方田犬彦氏によれば、「欲望と民主主義の合」を表象した女優は、若尾文子であったという。


梨園という伝統的世界のなかでアウトサイダー(女性)として育った寺島しのぶは、当然歌舞伎俳優にはなれない。舞台女優か映画に出演するか、あるいはTVドラマ。しかし、それらは、日本の伝統芸能である「歌舞伎」とは決定的に異なる。松たか子にも、同じような問題があるはずだと思う。


思えば、この宿命に敢然と立ち向かい、「欲望と民主主義」を表象する女優に成長するであろうとおもわせたのが、寺島しのぶであった。


荒戸源次郎監督『赤目四十八瀧心中未遂』(2003)と、廣木隆一監督『ヴァイブレータ』(2003)の2本の成果がそのことを証明している。