戦後日本の「考える人」100人100冊


季刊誌『考える人』17号は、『戦後日本の「考える人」100人100冊』特集を組んでいる。この種の企画が好きなので、ついつい購入した。100人は以下のとおり。

芥川比呂志網野善彦有元利夫有吉佐和子、猪谷六合雄、生田耕作、池田三四郎イサム・ノグチ石原吉郎磯田光一伊丹十三井筒俊彦伊藤整稲垣足穂今西錦司色川武大植草甚一上野英信内田百輭江藤淳大森荘蔵大宅壮一岡潔岡本太郎小津安二郎小野二郎開高健、金関寿夫、金子光晴神谷美恵子木山捷平、金鶴泳、串田孫一幸田文後藤明生古波蔵保好小林秀雄今和次郎阪田寛夫、坂西志保、澁澤龍彦島尾敏雄須賀敦子洲之内徹、清家清、瀬田貞二武田泰淳武田百合子武満徹竹山道雄谷崎潤一郎團伊玖磨檀一雄長新太知里真志保辻静雄辻まこと都留重人鶴見良行手塚治虫寺山修司、遠山啓、殿山泰司内藤濯永井荷風中尾佐助中上健次中村歌右衛門中谷宇吉郎ナンシー関西山夘三野口晴哉橋川文三長谷川四郎長谷川町子花田清輝花森安治廣松渉深沢七郎福田恆存藤田省三富士正晴舟越保武星野道夫松田道雄松本清張丸山眞男、三木成夫、三島由紀夫宮本常一向田邦子茂田井武柳田國男柳宗悦湯川秀樹吉野源三郎、吉野せい、吉村順三吉行淳之介淀川長治


遠野物語・山の人生 (岩波文庫)

遠野物語・山の人生 (岩波文庫)


考える人としては、埴谷雄高種村季弘が欠落している。埴谷雄高は『死霊』を書くことで考え続けた思想家・作家、また、澁澤龍彦を挙げるのであれば、種村季弘を外す理由がわからない。


死霊(1) (講談社文芸文庫)

死霊(1) (講談社文芸文庫)

詐欺師の楽園 (岩波現代文庫)

詐欺師の楽園 (岩波現代文庫)



映画監督は小津安二郎一人では寂しい。黒澤明成瀬巳喜男川島雄三などを入れるべきだろう。『考える人』特集の選出分野の特定は明確でない。


黒澤明vs.ハリウッド―『トラ・トラ・トラ!』その謎のすべて

黒澤明vs.ハリウッド―『トラ・トラ・トラ!』その謎のすべて

成瀬巳喜男の世界へ リュミエール叢書36

成瀬巳喜男の世界へ リュミエール叢書36

川島雄三、サヨナラだけが人生だ

川島雄三、サヨナラだけが人生だ


100人の選出とは、所詮一種の遊びに過ぎない。例えば、文学に絞るとすれば荒川洋治が最適であろうし、全分野をカバーできるわけはない。

文学が好き

文学が好き

で、100人・100冊のなかから、未読かつ読むべき本を以下に記録しておく。推薦文は10人別人とした。


都留重人『市場には心がない』(2006)・・・鶴見俊輔(推薦文寄稿、以下略)
須賀敦子訳,ナタリア・ギンズブルク著『ある家族の会話』(1985)・・・岸本佐知子
江藤淳「日本と私」『江藤淳コレクション2 エセー』(2001)・・・坪内祐三*1
松本清張『神々の乱心』(1997)・・・原武史
大森荘蔵『新視覚新論』(1982)・・・養老孟司
三島由紀夫『英霊の聲』(1966)・・・末木文美士
ナンシー関『小耳にはさもう』(1994)・・・堀江敏幸
広松渉『世界の共同主観的存在構造』(1972)・・・南直哉
伊丹十三『日本世間噺体系』(1976)・・・内田樹
海老沢泰久『美味礼賛』(1992)・・・茂木健一郎

市場には心がない―成長なくて改革をこそ

市場には心がない―成長なくて改革をこそ

ある家族の会話 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

ある家族の会話 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

神々の乱心〈上〉 (文春文庫)

神々の乱心〈上〉 (文春文庫)

英霊の聲 オリジナル版 (河出文庫)

英霊の聲 オリジナル版 (河出文庫)

小耳にはさもう (朝日文庫)

小耳にはさもう (朝日文庫)

世界の共同主観的存在構造 (講談社学術文庫)

世界の共同主観的存在構造 (講談社学術文庫)

*1:坪内祐三は、『考える人』の連載をまとめた『考える人』を、8月新潮社から出版する予定。期待できる本だ。