2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

映画365本

宮崎哲弥『映画365本』(朝日選書、2009)が刊行された。宮崎氏は、かつて同じシリーズで『新書365冊』を上梓している。新書本についての言説は明解そのものであった。しかしながら、宮崎氏は『映画365本』の「はじめに」のなかで、「本書は所謂シネフィル(…

日本語で読むということ

以上の文を書いたところで、二冊目の『日本語で読むということ』(筑摩書房、2009)も読了した。二冊を合わせて読むと、水村美苗という人の思考法や言語観が浮かび上がってくる。女性ならではの鋭い感覚。たんなる「女流文学者」とは一線を画する<小説家=…

日本語で書くということ

水村美苗が『日本語が亡びるとき』(筑摩書房、2008)を出版したのは、二分冊となった『日本語で読むということ』『日本語で書くということ』(筑摩書房、2009)に収められたエッセイや評論の「序文」を書いているうちに、次第に長くなり序文が独立して『日…

ジャンヌ・ダルク裁判

ジャンヌ・ダルク裁判に関する映画の代表的なものとして、カール・Th・ドライヤー『裁かるるジャンヌ』(1928)と、ロベール・ブレッソン『ジャンヌ・ダルク裁判』(1962)の二本がある。 裁かるゝジャンヌ クリティカル・エディション [DVD]出版社/メーカー…

柄谷行人政治を語る

『柄谷行人政治を語る』(図書新聞、2009)を一気に読了した。同時期に、宮台真司『日本の難点』(幻冬舎、2009)を読む。日本の思想・文学を先導してきた柄谷行人が「政治」について語ることばを読むと、世界史的視点で「政治」を語る柄谷の姿勢に、なぜ『…

グラン・トリノ

クリント・イーストウッド『グラン・トリノ』(2008)は、最後の主演作として、見事に俳優人生に決着をつけている。感度的なラストシーンを持つ傑作だ。今年79歳になるイーストウッドは、『ローハイド』のテレビ俳優として日本で知られ始めた。かれがイタリ…