高山宏の執筆予定

 
高山宏氏の「今年の執筆予定」(『出版ニュース』2008年1月上・中旬号)から以下引用する。

超人高山宏のつくりかた (NTT出版ライブラリーレゾナント)

超人高山宏のつくりかた (NTT出版ライブラリーレゾナント)

ここ三年かかわってきた首都大学東京(本当に妙な名前です)新学科が立ちあがりそうで、六十を迎えたこともあり転出、御免蒙りまして、十年ほど明治大学のお世話に相成ることになりました。変わらぬ御交誼のほどを。辞める一年の面子立てで忙しく、遅れに遅れた昨年刊行の予定の本が、のきなみ今年の頭に集中して出せそうです。
(1)『新人文感覚』1・2(東京大学出版会)かつての『ブック・カーニバル』系の巨大コンピレーション本です。コンピレーションといえば、(2)旧友二宮隆洋氏発案で『高山宏コレクション』(中央公論新社)も進みそう。一体何巻になるのやら。(3)『北斎変幻』(講談社)。中沢新一監修『芸術人類学』シリーズの一冊。十年来の懸案。明大では、江戸のアートを教えよということなので、その記念に。江戸といえば、タイモン・スクリーチ本をちくま学芸文庫から、という話もあり。(4)『アリスに驚け』(青土社)。半分校正まで出たところで、鬱にて挫折。もう一息です。(5)ハリー・ポッター本へ(NTT出版)。この二冊で高山英文学に「ケリ」をつけます。(6)デザイン関係(彰国社)。以上。
翻訳。
(7)サイモン・シャーマ『レンブラントの目』(河出書房新社)。(8)B.M.スタフォード『実体への旅』(産業図書)ふたつともお待たせ!巨大書になりました。スタフォードは産業図書から続けて(9)『象徴と神話』(10)『エコー・オブジェクト』、年内刊行をめざしています。悲願は(11)R.L.コリー『パラドクシア・エピデミカ』(河出書房新社)。英語にとどまらぬ翻訳稼業、いよいよ始めたく。夜露死苦!(p28−29)


グッド・ルッキング―イメージング新世紀へ

グッド・ルッキング―イメージング新世紀へ

ボディ・クリティシズム―啓蒙時代のアートと医学における見えざるもののイメージ化

ボディ・クリティシズム―啓蒙時代のアートと医学における見えざるもののイメージ化


ということで、『新人文感覚』は、『ブック・カーニバル』の最新版のようなデータベース的な本*1らしい。ま、楽しみに待とうではないか。また、中央公論新社で『高山宏コレクション』が計画されているらしい。はじめての著作集となる。遅れてきた読者としては嬉しい。首都大学東京を離れて、4月から明大で「江戸のアート」を教える。『アリスに驚け』とハリー・ポッター本(これがいまひとつ分からない)の2冊で高山英文学が終焉する。。。


近代文化史入門 超英文学講義 (講談社学術文庫)

近代文化史入門 超英文学講義 (講談社学術文庫)


高山氏の江戸アート論は、もちろん江戸に収まるわけがなく、16世紀からのヨーロッパのアートから博引傍証されるだろう。毎年、正月には各出版社の「今年の企画」が発表されるのが楽しみのひとつだが、このところ期待度の高い本が少ない。そんななかで、高山ワールド満開の本が4〜5冊。翻訳も期待したいところだ。


新編 黒に染める―本朝ピクチャレスク事始め

新編 黒に染める―本朝ピクチャレスク事始め


中沢新一監修『芸術人類学』シリーズの一冊『北斎変幻』は、10年来の懸案というから期待度は高まる。当然、ビジュアル系の図版多数と予測する。


芸術人類学

芸術人類学

誰も知らない 世界と日本のまちがい 自由と国家と資本主義

誰も知らない 世界と日本のまちがい 自由と国家と資本主義

*1:多分、「知のデータベース」という共通項で、高山宏松岡正剛と接点を持つのだろう。二人とも知の巨人。