希望の書店論


希望の書店論

希望の書店論


書店員で「本」や「読書」について書く人のなかで、おそらくジュンク堂福島聡が最先端にいる。『希望の書店論』(人文書院、2007)は、リアル書店の現場から視る本の世界。ジュンク堂書店とアマゾンは、「ロングテイル」論で同じ位相にあるがネット書店が必ずしも優位ではない、という。がしかし、ジュンク堂という劇場型書店に勤務するからいえることで、通常の書店には該当しない。いわば特権的世界にいることを、逆手にとって「本を売る」現場からの貴重な見解が披瀝されている。時代の空気を読むには最適の本。

とりわけ「書店と図書館」が興味深い。読者にとって本の提供という同じような機能を果たしているが、実は、似て非なる場所をリンクしようとする著者は偉い。