タイガー&ドラゴン


宮藤官九郎脚本のTVドラマ『タイガー&ドラゴン』第5話「厩火事」を観る。通常はTVドラマなど観ないのだが、『真夜中の弥次さん喜多さん』を観て、そのハイテンポでシュールな面白さが、テレビではどうなのだろうか確認してみたくなった。


漫才コンビ古田新太清水ミチコが、今回のメインゲスト。いわゆる「どつき漫才」の夫婦コンビ。古典落語厩火事』を、長瀬智也が高座で語り始める。孔子が大切にしていた白馬を、厩火事で死なせてしまった弟子たち。すると画面は、中国の孔子と弟子たちの光景に変わるといった按配で、ドラマにしては、映画のようなカットバックが多用される。次の話として、主人が大切にしていた皿を割ってしまった女房が、「皿は大丈夫か」と奥さんの体の心配をしないので、離縁した例を持ち出す。もちろん、このシーンも階段の現場へカットバックされる。


さて、古田新太の自分への愛情を心配する清水ミチコがガンということにして、夫の反応を試す。このあたりの呼吸は実に上手い。夫婦の愛が確かめられると、画面が突然清水ミチコのモノクロ写真に変わり、喪服を着た、西田敏行以下、林屋亭の面々。。。その前のシーンで清水ミチコが病院を訪れている。伏線もしっかり書き込まれているのだ。


身長差のある伊東美咲岡田准一が、岡田のアパートまで歩くシーンに脚本家クドカンの才気が観られるなど、いたるところに、クドカン印が押されている。シークエンスの一つひとつが、よく練られている。せりふと映像センスが抜群。TVドラマ、あなどるなかれ!『タイガー&ドラゴン』は、絶対、おもしろい。


タイガー&ドラゴン「三枚起請の回」 [DVD]

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