2004年映画ベスト10
年末恒例の回顧2004年。まずは映画から今年のベスト10を選んでみた。
スクリーンで観た映画が、92本。年間100本が目標だから少し足りないが、映画館で観た映画、『キネマ旬報』2004年12月下旬号の「選出用作品リスト」を対象に選出した。
独断と偏見がキャッチフレーズだが、意外とオーソドックスなリストになってしまった。今年の映画・ドラマは、純愛ブームそして、『冬のソナタ』に代表される韓流ブーム。純愛ものでいえば、日本映画はクールになってしまっていた状況から、恥じらいなく恋愛映画を製作することができる環境になったことを、素直に喜びたい。森田芳光『海猫』と、六年ぶりの作品となる根岸吉太郎の『透光の樹』という二本の恋愛映画の傑作が誕生した。久々に日本映画が健闘した年であった。
選外となったが、『スイングガールズ』(矢口史靖)、『下妻物語』(中島哲也)、『バーバー吉野』(荻上直子)、『ミラーを拭く男』(梶田征則)、『チルソクの夏』(佐々部清)、『死に花』(犬童一心)、『スチームボーイ』(大友克洋)など、傑作・佳作が多い年だった。
外国映画は、ハリウッド映画がSFやCGを中心とする大作主義が、人間ドラマを排除しているのに較べて、西欧やアジア映画などに優れたドラマ性が見られる。とりわけ韓流ブームのなかから、『殺人の追憶』のような傑作が誕生した。ドイツ映画の『グッバイ・レーニン』は、冷戦体制の崩壊がもたらした、東ベルリンの人々が映画をとおしてアイロニカルに描かれた。
外国映画のベスト1『ドッグヴィル』は、おそらく評価が分かれる。一歩間違えばワーストになりかねない、そんな試みがラストで劇的なカタルシスをもたらす。映画というより演劇に近い。その点では、三谷幸喜原作の『笑いの大学』も映画としては冒険であった。クリント・イーストウッドは、蓮實重彦が絶賛するシネアストだが、『ミスティック・リバー』でも、その才能を発揮している。クエンティン・タランティーノの『キル・ビル』はVol.1,2を併せると、彼のB級映画へのオマージュであったことが判明する。
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次点:笑いの大学(星護)
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『冬のソナタ・完全版』が、BS2で放映中。今回、はじめて『冬ソナ』のオリジナル版を観ているのだが、ある種の懐かしさや、ドラマ制作における基本や複線の張り方など、ドラマとしてよく出来ている。単に主人公のみならず、三角関係にかかわる人たちや周辺の人物の描写などを、批判的に観ながらも、引き込まれてしまう魅力があることを、あらためて発見した。映画におけるドラマ性の復活を唱えていたのが、ほかならぬ淀川長治さんであったことを思うと、映画にとってドラマ=脚本の重要性を再認識すべきときだろう。映画制作の原点に帰ること(スターとドラマ)こそが、21世紀に映画が生き延びる唯一の道ではないだろうか。