韓国映画
8月16日に「韓国映画」についての「日記」を書いたが、サーバの障害(?)で消去されてしまっていた。その日記を再現するつもりはないけれど、韓国映画について一言、触れておきたい。
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ここ最近の韓国映画の怒涛の進撃ぶりに圧倒されつづけていることをまず、告白しておかねばならない。かつての日本映画の黄金時代を彷彿させる。日本映画の黄金時代のメロドラマが、今流行の韓国ドラマ『冬のソナタ』に相当するのだろう。けれども、ドラマよりも映画の方がはるかに、韓国のリアリティを伝えているというのが私の印象だ。
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韓国映画のニューウェイヴは、イ・チャンホ『旅人は休まない』(1987)に代表される80年代の作品群から始まった。ぺ・ヨンギュン『達磨はなぜ東へ行ったのか』(1989)やパク・ジョンウォン『我らの歪んだ英雄』(1992)などが、日本で公開されている。その後、ホン・サンス『豚が井戸に落ちた日』(1996)、ホ・ジノ『八月のクリスマス』(1998)、そして大ヒットとなったカン・ジェギュの『シュリ』(1999)を経て、イ・チャンドン『ペパーミント・キャンディー』(1999)やパク・チャヌク『JSA』(2000)に繋がり、ホ・ジノ『気まぐれな唇』(2002)、ポン・ジュノ『殺人の追憶』(2003)などの問題作に到る。
この間、常に良質の作品を連続して撮っているベテラン監督イム・グォンテクの『風の丘を越えて〜西便制』(1993)、『祝祭』(1996)や、韓国の古典劇をパンソリで再現した傑作『春香伝』(2000)などが日本で公開されている。個人的には、この傾向の映画が好ましいし、韓国事情が良く分かる。
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80年代のイ・チャンホやぺ・ヨンギュンと、その後の世代を別つのは、「民主化」以前か以後かであり、大きく作風が異なっている。民主化以後の世代が、今日の韓国映画の主流を形成している。まあ、韓国映画については、四方田犬彦氏の韓国映画論を含む『アジア映画の大衆的想像力』(青土社)や『アジア映画』(作品社)*1を読んでもらうのが一番いいのだが、韓国ドラマのみが、騒がれている昨今の現象にはいささか辟易しているというのが、一映画ファンのつぶやきであることを言っておきたいだけだ。
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今年観た韓国映画では、『殺人の追憶』と『気まぐれな唇』が、過去と現在の韓国を知るためには、観ておくべき映画である。この二本に出演しているキム・サンギョンが、ドラマ『冬ソナ』のヨン様や、パク・ヨンハなどよりはるかに映画スターとしての華があり、田舎刑事役ソン・ガンホ(『シュリ』『JSA』)の存在感には抗し難い魅力があると、云っておこう。韓流ドラマは、はっきりいってぬるいのだ。
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