京都の三月書房

今年、二度目の京都行き。目的のひとつに、寺町通り二条上ル西側の三月書房がある。この書店は、最初、インターネットで発見し、たとえば小沢書店やリブロポートなどの倒産した出版社の在庫が、特価本価格で購入できること。書店では見かけないEDIの本が店頭にあることなど。


最近のABC青山ブックセンターの閉店はショックだった。六本木店や、新宿ルミネ店などは、東京に行くときは立ち寄る書店であり、閉店のニュースは、衝撃的であり、特色ある個性的な書店が次々と廃業に追い込まれている状況からも、入手不可の出版社の本を、特価で購入できることは、ありがたい。


で、今日は、EDIの本二冊を購入した。『中戸川吉二 三篇』(2000)(ISBN:4901134140)と矢部登著『結城信一と清宮質文』(1998)(ISBN:4901134078)。中戸川吉二については、荒川洋治氏が次のように記している。

中戸川吉二の作品は、まっとうな人生をつくれるのに、そこに身を入れることがでいない大正期の青年たちの心情を晴れやかに、ときには哀切に描き出す。世間や社会になじめず、勤勉になれない。思えばいつの時代でも、そういう人たちのほうが、ほんとうに必要なことがらを知らせてくれるのかもしれない。
荒川洋治『文学が好き』p129)


文学が好き

文学が好き


結城信一については、第三の新人でありながら忘れられた作家であり、未知谷から全集が刊行されるまでは、一部のマニヤに愛好されるひとであった。結城氏は、ひとりの文学を貫いた作家であり、矢部登氏の評伝は、以前から気にかかっていた本だ。


結城信一全集 (第1巻)

結城信一全集 (第1巻)


二冊を入手して、プチ同窓会が開催されるホテルへ急いだ。