2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

村上春樹氏の「エルサレム賞」受賞講演

まず、イスラエルに赴いたことがいかにも村上氏らしい。某市民団体などが受賞を拒否すべきだというのは、筋違いというもの。それより講演の中で、エルサレムの状況を「壁と卵」の比喩として批判したことこそ、村上春樹の小説家の立場からの発言として評価さ…

文学地図

加藤典洋「関係の原的な負荷―二〇〇八、「親殺し」の文学」(『文学地図』朝日新聞社、2008)は、近代文学における単一の主人公が不在である現代文学について、「関係の原的な負荷」をキイワードに、現代社会の病理に迫る鋭い分析をしている。 文学地図 大江…

みずず2008年読書アンケート

恒例の『みすず』2009年1・2月号「2008年読書アンケート」を通読。例年であれば、獲得票で確認しているが、2009年の場合、突出して選出されているのが少なく、水村美苗さんと内村剛介氏を4人が取り上げていることに言及しておく。 日本語が亡びるとき―英語…

イエス・キリストの生涯を読む

小川国夫『イエス・キリストの生涯を読む』(河出書房新社、2009.01)読了。昨年4月他界された作家・小川国夫は、オートバイで地中海沿岸を旅した経験をもとに綴られた『アポロンの島』が、島尾敏雄に認められ作家活動に専念した。故郷の藤枝市に住み、中央の…

チェ 39歳別れの手紙

1月31日公開の続編『チェ 39歳別れの手紙』(Che part2;Guerrilla, 2008)を観る。第一部が「明」とすれば、第二部は「暗」に相当する。画面は終始暗い。ボリビアに偽名で侵入し、ゲリラ闘争を指導するゲバラは、ボリビア共産党からの支援を得られず、ゲリラ…

チェ 28歳の革命

スティーブン・ソダーバーグ『チェ 28歳の革命』(Che part1;The Argentin 、2008) を観る。アルゼンチン生まれのゲバラが、カストロと出会いキューバ革命の成功までを描いた二部作の前半、いわば栄光のチェ・ゲバラを描く。 オリジナル・サウンドトラック …