緊急発言 普天間基地圏外移設案
大澤真幸氏による緊急出版(ネット版)本、『緊急発言 普天間基地圏外移設案』(朝日出版社,2010.5.11)に大いに参成する。(http://www.asahipress.com/)
この小冊子は、きわめて論理的に「普天間基地の廃止論」を展開している。つまり「県外」ではなく「圏外」である。そもそも、沖縄に居る海兵隊は必要なのか。何のために必要なのか。「抑止力」とは何にたいする抑止力なのか。北朝鮮からの恐怖? 核兵器への抑止に「海兵隊」の存在など意味がない。海兵隊不在による中国の脅威?これも、駐留アメリカ軍には、陸・海・空軍が配備されているではないか。なぜ、「海兵隊」なのか。
図式A 海兵隊>鳩山政権
図式B 海兵隊>沖縄県民
図式C 海兵隊>日本国民
以上の図式から「A」「B」は、アメリカにとって海兵隊は、鳩山政権・沖縄県民よりも重要であるとオバマ政権が考えているとしても、「C」の「日本国民」より「海兵隊」の方が重要であるとは言えない(仮に本音がそうであっても)だろう。
沖縄の困難は、日本の困難であり、普天間基地問題について、本土国民はあまりにも無関心すぎた。いや無責任だったと言ってもいい。自民党が、普天間基地問題で鳩山政権を批判する権利などない。戦後60年(返還後38年)以上にわたり、沖縄に犠牲を強いてきたのは、自民党政権(とそれを支持した国民)であり、アメリカの顔色を伺いながら普天間基地を辺野古に移設することを決めたのだから。
オバマが核兵器廃絶に向かうべきだと本気で考えているのなら、鳩山首相は直接オバマと話し合い、普天間基地の廃止案、つまり「圏外移設」を沖縄県民=日本国民の意思であることで説得すること。これ以外に普天間問題の解決策はないということだ。
大澤真幸氏の言う「圏外移設への断固たる意思を示すためには、日本政府としては、移設費用を出さないことにすればよい。民主党政権の得意技、事業仕分けの対象にして、移設のための予算をゼロ」に「仕分け」すればいいのだ。
まさに大澤氏の提言は、「コロンブスの卵」である。
普天間基地は、沖縄県民だけの問題ではなく、日本国民の問題にほかならない。本土の国民が沖縄県民に謝罪するのが本筋であり、辺野古への移設は沖縄県民への抑圧であることを理解しなければならない。普天間基地の一部を徳之島が負担するという形式的県外移設案も、沖縄地域に対する本土国民の冒涜以外の何物でもない。普天間問題は、大澤氏の緊急提案に託すのが現状では、ベストである。
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