かもめ食堂


かもめ食堂

かもめ食堂


バーバー吉野』と『恋は五七五!』の荻上直子が、群ようこに原作を依頼した『カモメ食堂』は、アキ・カウリスマキのような素敵な作品に作り上げられている。フィンランド人は、無口であるというイメージが強いけれど、「かもめ食堂」を自ら経営する小林聡美は結構おしゃべりであり、片桐はいりが加わると、面白おかしい会話がとびかう。さらに、もたいまさこの不思議な存在は、この映画にフィンランドという異国で暮す元気な女性たちを観ていると、心地よい。



この映画には日本人男性が一人も登場しない。なにも日本に住むことに拘る必要などない。女性同士の共同体的海外生活があってもいい。そんな良い気分にさせてくれるフィルムだ。ヘルシンキの風景が美しく、小林聡美たち3人の女性の存在は、異国の地にも違和感などない。



■オタク兄弟同士の世界と、海外で生活する女性たちは、現代日本のある世代の生き方としては、パラレルな関係にあることを、この2本の映画が示している。