ブダペスト日記


徳永康元ブダペスト日記』(新宿書房)を入手した。


ブダペスト日記

ブダペスト日記



徳永氏は、まさしく碩学と呼ぶに相応しい人であった。最初の出会いは『ブダペストの古本屋』(恒文社、1982)で、表題のエッセイや、「欧米の古本屋小説」「ハンガリー史点描」などを読んでいることを想い出した。二冊目が『ブダペスト回想』(恒文社、1989)であり、後者は2000年のプラハブダペスト旅行に際して、入手した本だった。


徳永氏は、昨年(2003)の四月に享年91歳で他界されていたことを、今回入手した『ブダペスト日記』ではじめて知った。山口昌男坪内祐三が「思い出の記」としてあとがきに「解説」を書いている。徳永氏こそ、古書をとおして知る人物だった。書くこと少なく、生前に二冊、死後『ブダペスト日記』が刊行され、ここにブダペスト三部作が出来上がったのだった。


古書店めぐりは、日本のみならず、東欧を中心に西欧の古書店に詳しい学者だった。最初のエッセイ集『ブダペストの古本屋』を上梓したとき、すでに70歳だった。古書と映画を愛した碩学徳永康元は、真の学者たるにふさわしい。


それにしても、最近書店に行くことが少なくなった。ついついネット書店で注文してしまう。古書についても、「日本の古本屋」などを覗いてしまう自分を反省している。本は、やはり、実物を見て買うべし。


などといいながら、紀田順一郎『私の神保町』(晶文社)がオンライン書店から届き、手にしているところなのだ。


私の神保町

私の神保町


徳永氏の『ブダペストの古本屋』の165頁と、紀田順一郎『私の神保町』の170〜171頁に同じ書物が紹介されている。生田耕作編訳『愛書狂』(白水社、1980)である。フローベールの『愛書狂』、父デュマの『稀覯本夜話』など五編が収録された「本好きが読んでも非常に面白い作品ばかりである。」(紀田順一郎


ついでに、同じ生田耕作編訳『書痴談義』(白水社、1983)*1も出ていることを付言しておきたい。一連の装丁とフランス装版のアンドルー・ラング/生田耕訳『書斎』(白水社、1982)もほぼ同じ時期に出版されている。いずれも、絶版であり、復刊が期待される本である。なお、『書斎』が復刊されていることが確認できたことを付け加えておきたい。


書斎

書斎