今回の見所は、笑福亭鶴瓶の上方落語の実演だろう。さすが、ほんものの落語家だけのことはある。余裕と迫力があった。
様々な「出来心」が仕掛けられている。まずは、長瀬智也が岡田准一から教わる『出来心』を、師匠の西田敏行に尋ねられ、つい「出来心」でと答えるシーン。組長の息子・塚本高史が、「ニート」から脱出するために、偶然出会った同級生で警官になっている高岡蒼佑(『パッチギ!』)と、対立する組の弱みを見つけ強請ろうと企てるが、逆に、相手方の組員につかまってしまう。その救出に向かうのが、長瀬智也と宅間孝行。 これは塚本高史の「出来心」。
塚本高史と蒼井優の関係が、裏DVDを巡って蒼井優のケリを入れるど迫力ぶりに驚くが、その蒼井優が塚本高史を想うあまりに、事件に発展したわけで、これも「出来心」か。
『出来心』のオチには、二つあると西田敏行はいう。一つは、素人泥棒に入られた長屋の住人が、大家さんに、「ほんの出来心でございます」とオチをつけるパターンで、もう一つは、大家が泥棒に、表か裏のどちらから入ったかを尋ねると、泥棒は、「裏は花色木綿で・・・」と答えるもの。
どん兵衛・西田敏行と、組長・笑福亭鶴瓶が、かつてお笑いのコンビであったことが明らかにされる。長瀬智也が、組長の息子・塚本高史の救出に行っているため、高座に穴があきそうになる。西田敏行がタキシード姿で唄うのをを見た笑福亭鶴瓶は、自ら高座に上がる。
もちろん、実話に基づいた長瀬智也の『出来心』で、話が閉められるのがいつものパターン。父の唄う姿を見た岡田准一も高座への復帰が間近いことが示される。
落語の高座と、その内容にかかわる時代劇と現代の交錯したシーンのカットバックも、手馴れたもので、今回も随所に見ることができる。このカットバックも毎回の大きな楽しみになっている。
『出来心』の二つのオチは、何を意味するのだろうか。推測するに、岡田准一と長瀬智也の関係が、西田敏行と笑福亭鶴瓶の再現になることを恐れる師匠・西田敏行の想いがオチに二つあると言わしめたと見た。さて、いかがだろうか。
ラストシーン。長瀬智也の視線が北村一輝に注がれる。次回『粗忽長屋』への導入シーンが提示されている。どうやら、あと3回で最終回になるらしい。
全体で、どうオチをつけるか、クドカンの腕の見せ所となる。
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『タイガー&ドラゴン「三枚起請」の回』が、第42回ギャラクシー賞テレビ部門で受賞したようだ。目出度いことだ。祝・ギャラクシー賞・受賞。
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未見なので、DVDで見てみようかな。
■落語という「ことば」
興津要によれば、「落語」は江戸時代には、「はなし」、「おとしばなし」と呼ばれ、正式に「落語(らくご)」としての読みは、明治20年代からとのこと。五代目古今亭志ん生の『志ん生の噺』全5巻がちくま文庫で刊行中であり、上記のTVドラマ『出来心』でも、噺家によって、内容は変わると言っていた。『古典落語』で筋は知っていても、志ん生の語り口で、読んでみたい。
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