タイガー&ドラゴン『明烏』


第6回は、おなじみの古典落語明烏』をもとに、クドカン流に「換骨奪胎」している。林屋亭の師匠・西田敏行 の一番弟子・春風亭昇太がまじめすぎていまだに独身。舞台では、まず薬師丸ひろ子が、「負け犬」に関する口上を述べ、堅物の若旦那を不良の連中に頼み「吉原」へ繰り出す・・・というお話。


借金を踏み倒して逃げているのが薬師丸ひろ子岡田准一たちが師匠の息子のために、合コンを設定する。女性たちは、伊東美咲が用意するのだが、一人足りない。そこへ、逃亡してきた薬師丸ひろ子が合流。五人vs五人の合コンは、大喜利風に。例によって、長瀬智也が舞台で落語を演じるにつれて、画面は、『明烏』を踏まえた転換につぐ転換、そしてオチがつく。でも、ゲスト薬師丸ひろ子が、昇太の結婚相手というのは次回以降どうするのだろうか。


今回、伊東美咲岡田准一の関係が一挙に進展。合コンの場から、混浴温泉に二人が入浴するシーンがいい雰囲気。温泉でのキスが、その後の展開に期待を持たせる。身長差がユーモアをもたらすし、女性優位の構図が落語の世界にあって突出した設定になっている。


それはさておき、カットつなぎとか、場面の変換が実にうまい。現代劇、時代劇、落語界、やくざの世界など、見事に連携させながら、物語をすすめる巧さは抜群。宮藤官九郎の力量には舌を巻く。さて、次回は『猫の皿』、別題『猫の茶わん』、この単純な話をどう料理するのか。乞う、ご期待!クドカン節は『タイガー&ドラゴン』で全開中。


第5回『厩火事』、第6回『明烏』は、『古典落語』に採録あり。

古典落語 (講談社学術文庫)

古典落語 (講談社学術文庫)

タイガー&ドラゴン

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