2006-02-04から1日間の記事一覧

田畑修一郎全集

荒川洋治の「道」の文章から田畑修一郎が気になった。日本ペンクラブ・電子文藝館 で『鳥羽家の子供』を読み、この作家がますます気になった。地方の旧家の子供であった軍治(田畑)は、実母の死後、父の愛人である幾が後妻となり家庭の体面は保たれるが、や…

奈良登大路町 妙高の秋

奈良登大路町・妙高の秋 (講談社文芸文庫)作者: 島村利正,勝又浩出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/01/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 27回この商品を含むブログ (12件) を見る 講談社文芸文庫には、時々、嬉しい出会いがある。結城信一、小山清や…

加能作次郎 三篇

加能作次郎(1885 〜1941)も、今日では忘れられた作家である。例えば、著名な作品一篇でも後世に記憶として残っておれば、忘れられることはないだろう。また、文学全集につねに名前を連ねていたなら、文学史の中の作家として記憶されるだろう。 2000年にEDI…

谷間の女たち

鈴木地蔵『市井作家列伝』で紹介されていた、森山啓『谷間の女たち』(新潮社,1989)*1を読む。人に勧められて読んだのだが、かつてプロレタリア作家であった森山啓が、幼年時代から20代で結婚するまでの一種の自伝であるとともに、優れた私小説であり、…