翼に賭ける命


ダグラス・サーク自身がベストフィルムの一本にあげる『翼に賭ける命』(1957)。舞台は第一次世界大戦後。戦争の英雄飛行士(ロバート・スタック)は、曲芸士となり生活している。妻ドロシー・マーロンは夫と飛行機整備士のジャック・カーソンの三人があたかも家族のように流浪の旅にある。彼らを取材する記者がロック・ハドソンであり、主役であるが事実上は完全な脇役的存在に終始する。



時代から取り残された男の悲哀と、その男に自己を託す強い女性。いつの時代にもそのようなアウトローは存在する。ロバート・スタックとドロシー・マーロンは『風と共に散る』のコンビを延長させたこの物語の本当の主人公たちであり、ロック・ハドソン狂言回しに過ぎない。