ちょっと本気な千夜千冊 虎の巻


松岡正剛『千夜千冊(全8冊)』(求龍堂、2006)は、web版「松岡正剛の千夜千冊」を、再編集・加筆した大全集であるが、あまりの金額の高さ故敬遠している。いや、それよりも、松岡正剛その人がいまひとつ理解できないのだ。読書の守備範囲の広大さには驚くしかない。著者は、「編集工学」ということばに己を託している。全集版『千夜千冊』を購入・読破することなどとても叶わない。とすれば、最新刊『ちょっと本気な千夜千冊 虎の巻』(求龍堂、2007)*1を読むことが、松岡正剛の世界の一端を伺うことになるといえよう。



読書とは「相互編集」だという松岡氏の見解は首肯できるし、一冊づつの読み方は面白いのだが、トータルとしてみると、博覧多識・博覧強記・博識多才の読書家以上でもなければ以下でもない。がしかし、思想家のレベルでみると、どうなのだろう。「異色の編集的読書家」とでも形容すればいいのだろうか。


松岡氏は「編集的世界観」と自らの思考方法を宣言している。『千夜千冊』全集版の見出しをみても、実にタイトルのつけ方がうまい。全体を「セイゴウ宇宙」として編集している。読書の手引き書として『千夜千冊』を紐解く価値は大きい。



私自身のセイゴウ体験は、率直に言って、これまで何度か正剛本を読んできたが、なぜか読了できない。途中で波長が合わなくなるのだ。セイゴウ入門書を見れば、様子が変わるかも知れないと思い『世界と日本の見方』を読む。