白バラの祈り


ドイツ映画『白バラの祈りゾフィー・ショル、最後の日々』(2005)を観る。ドイツにおけるナチスの犯罪に対する姿勢は、一貫して厳しい。ナチスに抵抗した地下運動「白バラ」のゾフィー・ショルの映画は、これまで何本か撮られている。今回は、ゾフィー・ショルが反ナチのビラを大学内でばら撒いたとき目撃され、直ちに兄とともに逮捕される。逮捕から処刑されるまでの6日間に起きた出来事を、発見された旧東ドイツの新資料にもとづき、ゾフィーの視点から捉えた傑作になっている。


白バラの祈り―ゾフィー・ショル、最期の日々 オリジナル・シナリオ

白バラの祈り―ゾフィー・ショル、最期の日々 オリジナル・シナリオ


映画のほとんどのシーンが会話で構成されている。尋問官モーア(アレクサンダー・ヘルト)との一種かけひきのような会話から、次第に自らの使命に目覚めるゾフィーはつねにクロース・アップで映され、目や口元の些細な動きから、彼女の心理に迫る。ゾフィーのクロース・アップから、カール・ドライヤーの『裁かるゝジャンヌ』(1928)を想起した。しかしながら、ただちにドライヤーのクロース・アップが仰角であったことに思い至る。正面からゾフィー・ショルを撮るマルク・ローテムントは、明らかに<ジャンヌ・ダルク>を意識したと思われる。


裁かるゝジャンヌ クリティカル・エディション [DVD]

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