NACSIS Webcat


NACSIS Webcatは、国立情報学研究所の総合目録であり、書誌と所蔵が確認できる貴重なサービスである。何より体裁がシンプルなところが良い。そのサービスが近々廃止になる。



今後は、WebcatPlusを見てくださいという趣旨だろうが、「一致検索」に「連想検索」や「書棚」などビジュアルな工夫は評価できるが、基本的な書誌情報や所蔵先を調べたいときは、余計な情報は不要なので、通常は、NACSIS Webcatで調べてきた。


HPには「Webcatは平成25年3月8日(金)を以てサービスを終了いたします」と記載があり、「後継サービスとして,検索機能をより拡張したCiNii Booksを提供しています。」と後継サービスの案内がある。


CiNiiの当初は「論文検索」が主体であったが、現状は「CiNii Artcles(論文)」に、 「 CiNii Books(図書)」のサービスが追加・変更され、運用されている。


しかしながら「 CiNii Books」の書誌情報は、「NACSIS Webcat」より書誌情報量が少なくっているように思える。書誌情報を分離し、「書誌詳細情報」が右欄にまとめられ、「注記」は「所蔵一覧」の下部にあるため、率直に言えば大変見づらい。


書誌・所蔵情報のシンプルさによって、NACSIS Webcatを一番多く利用していただけに、サービス廃止は残念としかいいようがない。


情報提供の在り方が、複雑化・多様化しており、画像や書影などが掲載される商用サービスとは一線を劃していただけに、NACSIS Webcatの廃止を惜しみたい。


このような傾向は、国立国会図書館の検索サービスも同様で、以前は「図書資料」と「雑誌記事索引」が、NDL-OPACのもと、別々に検索するようになっていたが、「国立国会図書館サーチ」に統合され、全てが一度の検索で表示される検索エンジン仕様になってしまった。HPからの図書館利用者にはむしろ不便になったと言わざるを得ない。「国立国会図書館サーチ」を検索する際、「詳細検索」の画面で、何を調べるのか設定しなければならない。


国立国会図書館入門 (三一新書)

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検索エンジンというのは、膨大なデータを検索ロボットが巡回しながら、瞬時に序列をつけた検索結果一覧が表示される。しかし、その序列は検索者にとっての重要さではない。


検索エンジンに上位表示する方法教えます

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NDLの場合、またNIIもデフォルトでは、出版年の新しい順に表示される。その点は、商用データベースとの差異を認めるが、複数のデータベースの同時検索は、便利さと不便さ、つまり最初の検索では、不要なデータ(ノイズ)が表示されるからだ。


このような傾向を、利用者はどう感じるのだろうか。情報発信者は、所有してる、あるいは自ら電子化した全てのデータを一度の検索によって見せたいという思惑が強いのは理解できる。


しかし、かかる国立機関の方向性は、個別利用者の意図を包括した統合型データベースに向かっているようだ。個人的利用者として、憂慮するものである。