舟を編む

2012年本屋大賞を受賞した三浦しをん著『舟を編む』(光文社,2011)は、辞書の編纂をテーマとする「職業小説」であり、10数年を作品の中で描ききっている傑作であった。出版者における辞書編纂部の組織的位置や、言葉へのこだわりなど、このような小説は管見の限りでは嚆矢と言えるのではないか。

舟を編む

舟を編む


他にも、三上延著『ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち』(アスキーメディアワークス,2011)は、古書店を舞台に、様々な名作を取り上げ、ミステリー風に作品を解説する。

コミックだが、玉川重機著『草子ブックガイド1』(講談社,2011)は、小説の名作に加えて、学校図書館の女性司書教諭が、生徒にブックトークをさせる設定など、本を紹介するコミックとして、良質の内容になっている。


草子ブックガイド(1) (モーニング KC)

草子ブックガイド(1) (モーニング KC)


モノとしての本が持つ、記憶と本を媒介するのは、電子書籍では難しいだろうと思わせる。いずれも本を介して、主人公が成長するビルドゥングス・ロマンとなっている。