図書館の歩む道



いずれ図書館には、紙媒体の書物は消失し、電子端末やパソコンが並んでいるだけという殺風景な光景が出現するかも知れない。まあそれも時代の変化であれば、肯うしかあるまい。しかし、電子書籍が中心になろうとも、インドの図書館学者ランガナタンの「図書館学の五法則」は永遠に、存在としての図書館にとって不滅の格言*1となるだろう。以下に掲げておきたい。


 ランガナタンの「図書館学の五法則

第一法則 本は利用するためのものである。
     Books are for use.
第二法則 いずれの人にもすべて、その人の本を。
     Every person his or her book.
第三法則 いずれの本にもすべて、その読者を。
     Every book its reader.
第四法則 読者(利用者)の時間を節約せよ。
     Save the time of the reader.
第五法則 図書館は成長する有機体である。
     A Library is a growing organism.

翻訳者の竹内氏は次のように解説している。

第四法則は、利用者からみての理想の図書館像です。本と人を結ぶという仕事ができるだけ短い時間で的確に行うのには、本の選択から受入、整理、保存、提供に至る細かな仕事が確実に組織されていること。この仕事を通して人のために働くという熱意、これらが総合されていなければならないのです。(p21)
・・・(中略)・・・
図書館をよくするも悪くするのも、図書館員にかかっています。そこでランガナタンは、五法則の中で繰り返し、図書館員はいかにあるべきかを説いています。(p21)
情報や知識はすべての人が自由に使うべきでものだからです。それは義務教育無料の考え方と共通です。(p22)


ランガナタンの「図書館学の五法則」から逸脱するとき、利用者サービスに支障をきたすおそれがある。指定管理職制度や業務委託の導入を理由に、この原則から離れ管理強化されるなら、図書館の歩む道は前途多難であると言わねばならない。


図書館 愛書家の楽園

図書館 愛書家の楽園

*1:ランガナタン図書館学の五法則」の「books」は、現在では「materials」に置き換えらているが、それに「digital contents」を追加して解釈すれば「五法則」は永久不滅なのである。