プラネット・テラー in グラインドハウス


ロバート・ロドリゲス監督の『プラネット・テラーinグラインドハウス』(2007)は、もう一本のグラインドハウス映画。こちらは、ゾンビ映画の引用とジョン・カーペンターをリスペクトした作品。『デス・プルーフ』ではあっさり殺人鬼に殺されたローズ・マッゴーワンが片足にマシンガンを付けているといった破天荒な設定。生物化学兵器を浴びるとウィルスに感染しゾンビになるという設定。ブルース・ウィリスが、戦争の英雄であるにもかかわらず、生物化学兵器に依拠しつづけなければならないという戦争後遺症的なソンビであることが、後半に明かされる。


冒頭、本作とは関係ないがよく似た映画の予告編があり、いかにもB級映画ですよという前ふりがあり、フィルムは時々擦り切れ、途中1巻分が飛んでしまったままの上映という体裁をとっている。フィルムの傷や飛び方がいささか強調されすぎて、うんざりしながら、ホラー映画が苦手な私にとっても、観応えのある映画だった。


デス・プルーフ』と『プラネット・テラー』を併せて上映するかたちが製作者の意図するところであり、日本ではそれぞれ独立した一本づつの上映となったが、二本に出演しているクエンティン・タランティーノの存在が異様に気になった。そのタランティーノが、日本映画でありながら全編英語で会話される三池崇史SUKIYAKI WESTERN ジャンゴ』(2007)に出て怪演している。『ジャンゴ』は、マカロニ・ウエスタンへのオマージュであり、日米ときを同じくして、映画全盛期の娯楽アクションを意識したフィルムを撮ることが、映画的危機を回避する道のひとつであることを示唆している。


荒唐無稽、ありえない設定、過去のフィルムの模倣と反復。そのような映画をを嬉々として撮り上げたのがグラインドハウスの二本だ。『ジャンゴ』を含めてひたすら画面を楽しむことに徹すればいい。


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