Google Scholar
国立情報学研究所(NII)が、学術論文データベースサービス「CiNii(サイニイ)」で提供している日本の主要学術雑誌の約300万件の論文データが「Google Scholar」で検索可能となった。
「CiNii(サイニイ)」は、論文の論題,著者名,抄録等を提供しており、検索結果から、本文が電子化されているものは直接本文データ(一部は有料)にアクセスすることができるようになった。紀要等の学術論文が主体であり、一般論文は、NDL-OPACのように書誌までしか閲覧できないが、「Google Scholar」では、モノによっては、無料でフルテキストが入手可能となった。
- 作者: 鹿野政直
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2002/01/18
- メディア: 新書
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試しに日本民衆思想史学者「鹿野政直」で検索してみると。
そのうち、本文(フルテキスト)閲覧が可能なものは、例えば、
「永積安明教授沖縄渡航拒否事件」(『沖縄文化研究』Vol.18, pp.173-246)があり、その先へ進むと、「本文」「CiNii」にリンクしており、73頁分の論文をPDFファイルで読むことができる。
「「否(ノン)」の文学 : 『琉大文学』の航跡」(『沖縄文化研究』Vol.12, pp.1-58)これも「CiNii」の本文58頁分のPDFファイル可。
「飛鳥井雅道著, 『日本近代精神史の研究』, 京都大学学術出版会, 二〇〇二・九刊」の書評(『史学雑誌』Vol.113,No.2, pp.214-222)の場合は、「本文」へのリンクはあるが、「CiNii」のIDが要求される。つまり課金されるというわけだ。
『近代日本の民間学』鹿野政直 - 岩波書店 [岩波新書, 1983)] の場合は、岩波書店のHP内容紹介欄にリンクされている。
次に、「内田樹」で検索してみよう。
「非中枢的身体論-武道の科学を求めて」神戸女学院大学 論集47-3 pp.97−117(本文不可)
「「エイリアン・フェミニズム」ー 記号としての身体・記号としての性〈特集 女性と身体〉」女性学評論 神戸女学院大学 v.10(1996.03),pp.3-26 (本文不可)
- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/06/20
- メディア: 新書
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内田氏の場合は、『神戸女学院大学論集』『女性学評論』が一部無料電子化されているけれど、内田氏の論文は年代的に該当しないので、「不可」。Web上の引用リンク先は『寝ながら学べる構造主義』のように、図書の場合「引用元3」と表示される。
以上からまとめると、『沖縄文化研究』などのように無料公開している雑誌については、論文「本文」を読むことができる。『史学雑誌』のように専門誌だが商業雑誌の場合は、「本文」へのリンクがあっても、NIIの「CiNii」に登録していないと利用できない。更に、図書の場合はもちろん、書誌事項、一部抄録・内容紹介までとなっており、web上に引用した論文があれば、「引用元」として表示される。
「Google Scholar」という検索エンジンを入り口として、論文等の検索対象に、「CiNii」が提供している約300万件の論文データが付加されたことは、日本の電子化状況としては画期的な出来事といえるだろう。無料分は積極的に利用したい。
利用方法は、「Google Scholar」の「ヘルプ」画面を参照されたい。
*1:鹿野政直氏の場合、「Google Scholar」の検索結果から、NIIの頁へリンクがあり、NIIには99件のデータが収録されている。そのうち、本文のあるものが4件で、無料で読むことができる論文は上記の2件、有料(登録制課金)が2件となる。
*2:内田樹氏の場合は、「Google Scholar」検索結果から、NIIの頁へのリンクをたどると、NIIには74件のデータが収録されている。74件のうち「被引用文献」が3件、本文PDFが1件だが、この1件は神戸女学院大学のカリキュラム検討委員会報告(共著)『「教養の崩壊論」を検証する』で論文ではない。純粋な著者の論文フルテキスト収録は0件であった。