私小説という人生


およそ私小説に縁がなかったはずの秋山駿が、『私小説という人生』(新潮社,2006)を刊行した。読了。


私小説という人生

私小説という人生


「あとがき」の文章から。

人間の真実を探求し、人生の真相を直視する。この文学の理想を、すべての人がずかずか入って来られる、平凡な日常という土台で、小説化しようとした。その悪戦苦闘は貴重なものであり、わたしは胸を打たれた。(p.258)


田山花袋、岩野泡鳴、二葉亭四迷樋口一葉、藤村、正宗白鳥の作品を論じながら、常にその背後に居るのは小林秀雄である。「小林秀雄論」で出発した秋山駿は、最後まで小林秀雄の呪縛から逃れられない。


人生の検証 (新潮文庫)

人生の検証 (新潮文庫)